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【知財イベント】完全オンライン型展示会「すごい知財サービスEXPO2021」セミナーレポートVol.7 知財業界における多様な働き方~副業(複業)は「あり?」「なし?」~

イベント

この記事を読むのに必要な時間は約 11 分です。

 

Vol.1 来賓の挨拶(WIPO日本事務所長 澤井 智毅 氏)はこちら↓

 

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Vol.3 ”SaaS×Fintech系ベンチャー企業、マネーフォワードの知財戦略~知財活動の現場から~はこちら↓

 

Vol.4 特許事務所がスタートアップ企業と付き合うために必要な作法 ~弁理士会ベンチャー支援部会からの提言~はこちら↓

 

Vol.5 メルカリグループの知財~知財活動の現場から~はこちら↓

 

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【知財イベント】完全オンライン型展示会「すごい知財サービスEXPO2021」セミナーレポートVol.6 オプティム流・新規事業をアシストする知財戦略~知財功労賞受賞の知財活動~

 

 

≪パネラー紹介≫

・湯浅 竜さん
日本弁理士会 弁理士

・有定 裕晶さん
株式会社メルカリ 知的財産チーム

・上池 睦さん
サイボウズ株式会社 知財担当

・永沼 よう子さん
iRify国際特許事務所代表弁理士

 

「副業」には二通りの意味がある

 

湯浅さん
今回のディスカッションのテーマは、『知財業界における多様な働き方~副業(複業)は「あり?」「なし?」~』です。本日は本業があるにもかかわらず、別の仕事、すなわち副業をやられている3名の方にお越しいただきました。

まず、上池さんにお聞きします。タイトルにもありますように、サイボーズでは副業の表記を「副業」ではなく「複業」としていると思うのですが、これはなぜでしょうか?

 

上池さん
「副業」には、本業のサブという意味で副収入を得るための「副業」というものあるし、マルチな意味合いで仕事を行う「複業」もあると考えています。

今回私がお話させていただくのはマルチな意味合いをもつ「複業」についてなので、タイトルには2パターンの表記を添えました。

 

湯浅さん
なるほど。メインとかサブという考え方ではないということですね。

終身雇用が絶対ではなくなり、働き方が多様化している昨今。そのため、世間では副業(複業)への興味や認知度が大いに広がっていると感じます。

では、会社ごとに副業(複業)をどう認識しているかについてお話していきたいと思います。

まずは有定さんにお伺いします。メルカリでは副業は認められていますか?

 

有定さん
メルカリの場合は、会社として副業(複業)を推奨しています。副業(複業)を通して培った知見が本業にも生かされるという考え方をしているためです。

 

湯浅さん
上池さんの会社での副業(複業)の位置づけはいかがですか?

 

上池さん
明確に推奨されている、とはいえません。会社としては、従業員一人ひとりが働き方を主体的に選べる環境をつくることに重きを置いています。そのため副業(複業)したい人がいれば、できるようにするというスタンスです。

 

本業の専門知識を生かしてほかの場所で活躍する

 

湯浅さん
では、実際に副業(複業)を行っている方の割合についてお聞きします。有定さんの会社はいかがですか?

 

有定さん
統計データがあるわけではないので、確実なことはお伝えできませんが、体感としては多い印象です。
副業(複業)の仕事内容は、副収入が得られるものではなく、本業の専門知識を生かしてほかの場所で活躍するというケースがよく見られます。

 

湯浅さん
働く、というよりも知識を生かした活動を行っているということですね。

会社を経営されている永沼さんは、副業(複業)についてどう考えていますか?

 

永沼さん
自分が副業(複業)を行ってきたということもあり、基本的に推奨する考えではあります。

しかし、すべてを承認するわけではありません。ケースバイケースと感じています。

例えば、以前通信会社に勤めていたころは、株や為替の情報を世間より早めに入手することができました。そのため金融商品に関する副業(複業)は一切禁止でした。

このような経験を踏まえて、自分が今いる職種によっては副業(複業)として認められない仕事もあるのではないかと感じています。

 

職場環境に依存せず自分のやりたいことを形にしていく

 

湯浅さん
皆さんのお話を聞く中で、「(副業(複業)を始めるために)会社を説得する」ということは難しくないように感じました。

次は、実際に副業(複業)してみて良かったところについてお伺いしたいです。

 

永沼さん
私の場合、まず前提として「本業があって副業(複業)がある」という考え方ではありません。

例えば、自分のやりたいことが10あるとして、今の職場でいくつ実現可能なのか。足りないものはどのようにして補うのか、ということを軸に仕事を行っています。

職場環境に依存せず自分のやりたいことを形にしていくことが、副業(複業)の魅力だと感じます。

 

有定さん
私の場合は、まず収入面は大幅にアップしましたね。2つ、3つと働く場所が増える分、収入も上がっていきます。

次にスキルについては、当然上がると思いますが、認識として注意したいことがあります。

それは、そもそもスキルを持っているから「副業(複業)しませんか?」というリクエストをもらえるということです。

もともと持ち合わせているスキルを外部提供することで、今までになかった気づきを得ることができ、そこで得た知見を本業に生かすことができるのではないでしょうか。

このような意味で、「副業(複業)をすればスキルが上がる」と定義することができると思います。

最後に人脈については、単純に人とのつながりや接点が増えるので、当然広がりますよね。

 

湯浅さん
副業(複業)には様々なメリットがありますが、各々の副業(複業)への認識にも注意が必要ですね。

スキルを鍛えるために副業(複業)をするのではなく、もともとスキルを備えた上で副業(複業)が成り立つととらえたほうが賢明かもしれません。

 

有定さん
総合的に高いスキルを持つ必要はないと思います。

例えば、特許出願に関する手続きをほぼ完璧に執り行えるのであれば、特許出願に関するスキルを求めている副業先やクライアントとマッチします。

自分の持っているスキルをピンポイントに求めているところへアプローチすることで、副業(複業)をスタートできるはずです。

そして担当業務だけでなく、付随して発生した追加業務にも対応していく中でスキルが上がっていくこともあるのではないでしょうか。

 

上池さん
IPTech特許業務法人の業務を副業(複業)として行っていたときは、今までになかった知財・特許関連の業務に携わることができました。そこでスキルが上げられた実感も得ています。

副業(複業)で得た経験は、本業にすぐ活かせるわけではありませんが、確実に視座が上がるきっかけにつながっていると思います。

 

永沼さん
お二人が話されてたように、副業(複業)とはすでにあるスキルを外部で活かし、さらに新しいスキルを伸ばしていくという流れが最も望ましいと感じます。

持ち合わせていないスキルを伸ばすためにお金を出して勉強をしにいく、というスタンスは副業(複業)には当てはまらないのかなと思います。

 

湯浅さん
副業(複業)を通してポジティブな経験が得られることがわかりました。

しかし副業(複業)を始める前に、自分のスキルを定義すること、自分のスキルが社会に求められているかどうかを検討することこそが最も重要なのかなと感じます。

 

環境に適応しやすい人は副業(複業)に向いている

 

湯浅さん
続いて、自分たちが実際に行っている副業(複業)を人にすすめるか否かをお伺いします。

皆さんは積極的に副業(複業)をすすめたいと感じているのでしょうか?

 

上池さん
やりたいと思うならやればいいという考えです。やりたいと思っていないのに世間の声に流されて始める必要はないと感じます。

 

湯浅さん
確かにその通りですね。(笑)
それを前提として、副業(複業)を始めるか悩んでいる人向けに、もう少し具体的にお聞きしてもよろしいでしょうか。

 

永沼さん
まず向いている人は、環境に適応しやすい人だと思います。

例えば、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて働き方は大きく変わりました。そのときにいち早く新しい働き方にシフトチェンジできた方は、職種が変わってもすぐに慣れることができる方だと思います。

「自分が築いてきたルールを守りたい」という保守的な姿勢ではなく、新しい生活にすんなりと溶け込めるスタンスを持っている方は副業(複業)にも向いている気がします。

 

湯浅さん
副業(複業)の向き不向きは、会社ごとに変わる働き方を「たのしい」と感じられるかどうかで判断できるということですね。

異なる職場環境を前にしたとき、戸惑ってしまう方は向いていないといえます。

 

有定さん
もう一つ付け加えると「副業(複業)をすれば儲かる」と思っている人も向いていないと思います。

どのような副業(複業)でも、需要と供給が一致して仕事や報酬が発生しています。なので、「やれば(=始めさえすれば)儲かる」というスタンスで副業(複業)を成功させることはできません。始めたはいいものの、結局何もしていないという状況に陥りやすいです。

 

永沼さん
副業(複業)先には、担当業務を「本業」として取り組んでいる方々がいます。副業(複業)を始めただけで収入を得られる仕組みは存在しません。

付加価値を提供するような、本気の取り組みが必要だと思います。

 

湯浅さん
副業(複業)を始めるのに適している年齢はあるのでしょうか?

若い方が向いているのか、それとも年齢を重ねた方が経験を活かしてやるべき、などありますか?

 

永沼さん
私は、年齢と経験を重ねた方におすすめしたいです。副業(複業)を始めることでマインドを切り替える機会にもつながると思うからです。

 

上池さん
若い人も始めていいと思います。副業(複業)は小さなことからスタートすることも可能ですし、エネルギーがあるうちに挑戦してみるのも一つの選択肢としてありではないでしょうか。

 

自分の働き方に対してどう優先順位をつけるかが大切

 

湯浅さん
今まで副業(複業)をしたことがない方の中には、心理的なハードルの高さを感じている方もいるはずです。副業(複業)を始めるにあたって何を意識すればいいのか、どういったところに気を付けたほうがいいのかなどのイメージも湧かないのかなと思います。
副業(複業)をしてみたいという方向けにアドバイスを頂きたいですのですが、「副業(複業)を会社が認めてくれない」、「承諾をもらいにくい空気感がある」という声もよく聞きます。そういう場合にはどうしたらいいのでしょうか。

 

有定さん
会社が認めてくれない中で副業を始めたいのであれば、自己責任で取り組むことを推奨します。やりたいのであれば、やっていいというのが個人的なスタンスです。

また始め方のポイントは、需要のあるところにアプローチをかけることに尽きると思います

万が一、会社の規定を無視して副業(複業)を始めたことが明るみになった場合、解雇されるなど処遇の程度は、その人自身が会社にとって必要な人材であるかどうかによります。

例えば転職を見据えて入社した会社で、副業(複業)をきっかけに退職を促されるのであれば、そのタイミングでやめるのも一手ではないでしょうか。

 

上池さん
物事の優先順位を決めて取り組むのがいいと思います。どのような状況でも選択肢はいくつかあるはずです。会社の規定よりも副業(複業)を始めることを優先したいのであれば、そもそも会社をやめることもできます。自分の働き方に対してどういう優先順位をつけて、どう選択していくかが大切だと思います。

 

本業があって、副業(複業)がある

 

湯浅さん
では、実際に副業(複業)を始めた際に起こりやすい事例を用いて議論していきましょう。

本業のリソースが足りなくなった、体力的に限界がきてしまった、など副業(複業)を始めたことで何かしら影響が生じることがあると思います。

このようなことが起こったときに、「副業(複業)はそういうものだ」と割り切るべきなのか、「本業に支障をきたすやり方はすべきでない」と働き方を見直すべきなのか、マインドセットについてお伺いしたいです。

 

有定さん
僕は「本業があって、副業(複業)がある」という建付けでいます。本業へフルコミットすることは当たり前です。

プラスアルファで副業(複業)を取り組むという意識を持っているので、リソースが足りないなどのトラブルが発生した場合は副業(複業)から切っていくと思います。

 

上池さん
私も有定さんと同じスタンスで取り組んでいます。ただ取り組み方は人や会社の文化によって変えられるので、一概にこうあるべきと断言することはできません。

例えば、週4日本業に取り組み、それ以外を副業(複業)にあてる過ごし方もあります。

また副業(複業)に限らず、資格の勉強や家族との時間の確保などにより本業が圧迫されることは日常生活の中でよくあることだと思います。ですので、副業(複業)にとらわれすぎず、本業を圧迫するケースを想定して自分なりの対処法を確立しておくとよいでしょう。

 

永沼さん
私は会社の業務だけでなくタレント業も並行しているので、お互いのリソースが食い合うという状況にはよく陥りがちです。

そのため、時間の縛りを自分の中で設けず、それぞれ対応するようにしています。

 

湯浅さん
結構、三者三様ですね。有定さん個人としては、本業があってそこに食い合わない範囲で副業をするという考え方ですし、上池さんは優先順位を決めていればいいという考え方で、永沼さんは本業も副業も影響しあいながら、それぞれを全力で対応していくという考え方でした。ちなみに僕自身は、永沼さんのスタンスと同じで、すべての仕事にその時々で全力に取り組むようにしています。

ただし一つでも業務内容的に重たいものがある場合は、自分のキャパシティーが超えてしまう前にほかの業務を意識的に減らす工夫も必要ですね。

今回は、知財業界における多様な働き方ということで、副業にフォーカスしてお話しさせていただきました。各企業や個人によっても副業の考え方は様々でしたが、皆さんから頂いたアドバイスを参考にしながら、本業とのバランスも考えつつ、今ある自分のスキルをより高めるために副業に挑戦してみるのもいいかもしれません。

皆様、本日はご多忙のところありがとうございました。

 

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