【知財イベント】完全オンライン型展示会「すごい知財サービスEXPO2021」セミナーレポートVol.9(#2) スタートアップ企業に必要な知財人材
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(#1)目次;
1. スタートアップの知財活動に必要なものはなにか?
2.スタートアップにも知財戦略が必要か?
【知財イベント】完全オンライン型展示会「すごい知財サービスEXPO2021」セミナーレポートVol.9(#1) スタートアップ企業に必要な知財人材
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スタートアップの知財活動の支援の実態の課題は何か?
湯浅さん
次のテーマです。現場で感じたスタートアップの課題感についてお伺いします。
弁理士や特許事務所は、特許出願や商標出願など権利化が主な業務になると思います。戦略的な発想や事業に対してのコミットメントはどうしても少なくなりがちです。
逆に、スタートアップ側はセンスのいい経営者が多い一方で、知財のような専門的なリテラシーを持ち合わせていないことが多いです。
ここからさらに派生する課題感や解決策などはありますか?
木元さん
課題を一言でいうと「ギャップ」ですかね。特に「コミュニケーションギャップ」かなと思います。
まず前提として、支援する側の能力が足りなくてギャップが起きているわけではない、という考えです。
一方で、創業当初のスタートアップのCXOは、自分がよくわからないことについては、人がいないからという理由で他の誰かに任すというのがよくみられる傾向です。
例えば創業者に、エンジニアでWebのUIを開発する専門家を探してくださいといったときに、人によって探し方が変わってきます。サーチエンジンを使うのか、SNSを使うのか、など様々です。
しかし、知財の専門家を探すときは、皆さん一様に「弁理士」から探すと思います。他にも法律のことなら「弁護士」、お金のことなら「税理士」や「会計士」といった具合に、士業系は外的リソースに頼りやすくなっているのです。
CXOなどの創業者は、まず自分ができるところとできないところを見極めて、できないことに対しては、プロに任せるというのが重要です。
湯浅さん
まとめると、社内の人が優秀かどうか、人がいるかいないか、に関わらず、そもそもやれることの優先順位があるので、知財活動をやりたくても社内にできる人がいないというギャップが発生する。そのため、そのような専門性が高いものは外だしにすればいいということですが、このときに双方の持っている能力によってもギャップが生じてしまうということですかね。
木元さん
リテラシーが高かったとしても社内の人間だけでは解決しそうにないことについては、速やかにプロを使うのが吉ということです。
ただし、専門家だからと一任していると、社内に知識が蓄積しないままになるので、自らも踏み込んで関わっていくことが必要といえるでしょう。
スタートアップにはまる知財人材の人物像
湯浅さん
最後に、スタートアップにとってどういうチームメンバーやパートナーを選ぶのがいいのかという部分について、ご意見をお聞かせください。
木元さん
企業の知財部として活躍するなら、会社の規模に関わらずある程度は企業の知財部での業務経験があるほうがいいだろうと考えます。大企業で知財部としての経験を積み、スタートアップへ転職する流れが最も多いのかなと思います。
湯浅さん
僕も同意です。大企業の知財部で業務を行う中で、社内のロジックや文化の都合で実現できなかったことも出てくると思います。
そのような知見を含めてスタートアップで頑張るのは、流れとしてすごくきれいですよね。
ちなみにトピックの中で「ビジネス感度さえ高めれば、契約を回せる」というものがありますが、「契約を回す知財人材」とはどのような人物なのでしょうか?
木元さん
契約書を交わす際、お金のやりとりやプロジェクトの計画、将来を見据えた条件交渉が必要です。
しかしスタートアップには、自分さえよければいいというマインドを持った方が多く、これではうまくいかないことも多いでしょう。積極性に加えて柔軟な交渉力や対応力が求められます。
スタートアップの知財活動において必要なのは、知財部で技術の知識を持ち、さらに技術を実現するにあたって必要な開発がどんなものか理解している人間です。
このような人材がビジネスの感度を持って契約を回せば、本来二人いるはずのリソースを一人で回すことができるようになります。
「スタートアップだから」という特別感はいらない
湯浅さん
では最後に、知財業界的にこれからスタートアップ企業の知財活動をバックアップしていこうというのは、特許庁や経済産業省、あるいは大手の事務所も問題意識を持っていますが、実際に現場で活躍されている木元さんからメッセージがあればお願いします。
木元さん
最近思うのが、支援する側も支援される側も「スタートアップだから」という特別感が強く出てきてしまっているのかな、と感じています。本来は普通のことを真摯に取り組んでいけばいいだけなのですが、そこに変なノイズが乗ってしまうと、お互いにギャップが生まれてしまうのではないかなと思っています。このあたりのスタンスをもう少し変えていけないかなとは思っております。
湯浅さん
今回は「スタートアップ企業に必要な知財人材」というテーマで木元さんと対談をさせていただきました。実際にスタートアップでご活躍されている方からの目線でお話しいただいたので、より踏み込んだ内容になったかと思います。木元さん、ご多忙のところありがとうございました。
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