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【日常に潜む知財シリーズ】プレスリリース編(1)プレスリリースのどのくらい前に特許や商標は出願しておくべき?

連載記事

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

 

第1弾 YouTube編はこちら↓

【日常に潜む知財シリーズ】YouTube編(10)≪完全保存版≫一発丸わかり!動画配信で気を付けるべき知財のまとめ

 

第2弾 クラウドファンディング編はこちら↓

【日常に潜む知財シリーズ】クラウドファンディング編≪完全保存版≫一発丸わかり!クラウドファンディングの思わぬ知財の落とし穴!

 

日常に潜む知財シリーズ第3弾です!

スタートアップの皆さんにとっては馴染み深い『プレスリリース』。

新しいサービスや技術を開発し、それを広く世の中に周知させるためにプレスリリースを出しますが、だからこそ気を付けなければいけない知財が隠れていることを皆さんはご存知でしょうか。

無防備にプレスリリースで情報公開をしてしまうと、後に大きなトラブルに巻き込まれることも・・・!?

今回もOne ip特許業務法人の弁理士の先生に、弁理士目線で注意すべきプレスリリースの知財について聞いてみました!

 

(1)プレスリリースのどのくらい前に特許や商標は出願しておくべき?

 

昨年私、脱サラをして起業した。

 

今は多くの人の役に立ちたいと、ある新しいサービスの開発をしている。

 

そして長い月日をかけて開発したサービスがついに今日、完成した。

 

早速、来月にサービスの提供を開始することが決まったので、プレスリリースの準備をしていた。

 

「やっとここまで来た・・・。サービスの開発は思ったより大変だった。でもこれで多くの人のためになれば嬉しい!どんなサービスなのかをたくさんの人に知ってもらいたいから、プレスリリースにはサービスについての情報を詳しく書こう!」

 

そんなとき、ふと知人から聞いた話を思い出す。

 

「そういえば、この前クラウドファンディングをしていた知人が、商標登録出願をする前に情報を公開してしまって取り返しのつかないことになったって言ってたな・・・。って・・・大変!私、開発に没頭しすぎて知財のことまったく意識していなかった!もう来月にはリリース決まっちゃってるよ・・・どうしようー!!でも、知人のおかげで情報公開する前に気が付けて良かった。まだ間に合うかもしれないから、急いで弁理士の先生に相談してみよう!」



\教えて!弁理士の先生!/

『プレスリリースのどのくらい前に特許や商標は出願しておくべき?』

【特許・意匠の場合】

プレスリリースにどのくらいの情報を載せるのかによりますが、より安全サイドに経てば、特許や意匠の場合は、プレスリリースを出す直前までに出願するといいでしょう。特許や意匠は『新規性』があるかで判断されます。出願前に、サービスの内容(例えば、中身の構造や具体的なアルゴリズム)を具体的にオープンにしてしまうと、新規性がないと判断されて取得できなくなる可能性があるため、注意が必要です。

例えば、ドローンの特殊な羽根に関するプロダクトを作っているときに、特許を出願しないでプレスリリースでその羽根のかたちなどの情報を載せてしまうと、その後に特許出願をしてもその情報によって新規性がないとみなされ、特許を取得できない可能性が出てきます。

一方で、ドローンの飛ばし方や制御の仕方をプレスリリースで発表する場合に、『狭いトンネルの中でも自動的に飛行することができる』といった書き方であれば、どのような制御をしているかを特定できないので問題にはならないと思います。

なお、緊急避難的な制度として「新規性喪失の例外」という制度が存在します。この制度を利用することによって、先のプレスリリースに記載した内容で新規性を喪失したことはならず、新規性の拒絶理由としては見過ごしてくれるというものです。ただしデメリットが多く、制度の手続にもコストがかかるため、あまりおすすめしていません。

プレスリリースをどういう目的で出すのかによって変わってきますが、プレスリリースにそこまで詳しい情報を書く必要はないと思います。プレスリリースを見れば明らかに特許の中身がわかってしまうという場合には、プレスリリースを出す前に出願をしておくのが大事だと思います。これは意匠も同じです。

【商標の場合】

商標は、特許と違って新規性で判断されないため、プレスリリースを出す前に出願していなくても特に問題はありません。

ただし、商標は『先願主義』です。もしプレスリリースを見た第三者によって先に出願をされてしまうと、その商標は使えなくなってしまいます。取り返しのつかないことになる前に、リスク回避のためにもやはり先に出願しておくのが良いと思います。

相談のタイミングとしては、もしリリース日が決まっているのであれば、その二週間前くらいには弁理士に相談するのがよいでしょう。

 

「知人の話を聞いていたおかげで、プレスリリースで情報を公開する前に気が付くことができた。もし、この話を聞いていなかったら、何も考えずに情報満載のプレスリリースを出していたところだったよ。少しの知識で防げるリスクもあるのだな。」

 

無事に情報公開前に特許出願をすることができた私。

 

でもまだまだプレスリリースには知財がひっそりと潜んでいることを、このときの私はまだ知らない・・・。



次回は『プレスリリース編(2)特許出願中(公開前)や商標出願中の段階でプレスリリースを出すときの注意点って?』です!お楽しみに★



第1弾 YouTube編はこちら↓

【日常に潜む知財シリーズ】YouTube編(10)≪完全保存版≫一発丸わかり!動画配信で気を付けるべき知財のまとめ

 

第2弾 クラウドファンディング編はこちら↓

【日常に潜む知財シリーズ】クラウドファンディング編≪完全保存版≫一発丸わかり!クラウドファンディングの思わぬ知財の落とし穴!

 



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