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スタートアップのIP経営①弁理士/澤井さんの経歴

連載記事

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この連載では、スタートアップに特化した知財支援サービスを提供するOne ip特許業務法人の澤井周さんに『スタートアップのIP経営』について、毎週お話を伺っていきます。『知財ってよく解らないなあ』という方はもちろん、スタートアップ経営者の方で『IP経営に興味がある』という方へ、この連載が、気づきやヒントになれば幸いです。

≪スタートアップのIP経営に関する連載一覧≫
スタートアップのIP経営②スタートアップとIP経営
スタートアップのIP経営③スタートアップの知財支援とは
スタートアップのIP経営④スタートアップに知財は必要なのか?
スタートアップのIP経営⑤最初が一番大切な理由
スタートアップのIP経営⑥お金がない!!シード期の知財費用はどうする?
スタートアップのIP経営⑦ピッチで何を話すべき?事業戦略は知財戦略である
スタートアップのIP経営⑧まずはできるところから!IP経営の始め方
スタートアップのIP経営⑨特許を取るプロセスと権利化にかかる費用
スタートアップのIP経営⑩利用したい!!特許庁等のお金に関するおトクな制度とは
スタートアップのIP経営⑪知っておきたい!!特許庁等の審査に関する制度とは

澤井さん profile

弁理士・博士(工学)。素材メーカ→博士課程→特許事務所→企業知財を経て、Oneip特許業務法人に参画。ドローンを中心にAI、IoT、IT、リアルテック関連などのクライアントの知財支援、コンサルティング、出願権利化業務を行う。

澤井さん、これからよろしくお願いいたします!

どうぞ、よろしくお願いします。

第一回目ということで、まずは澤井さんの経歴をお伺いしたいと思います。弁理士になる以前は、どのようなお仕事をされていたのですか?

元々は機械や材料など、ものづくりの企業でエンジニアをしていたり、大学で研究をしていました。企業では素材を作る工場の現場で働いていました。現場はものすごく暑くて、一番熱いところで多分50~60℃くらいあったかもしれないです。その後企業を辞めて大学院に戻り研究に取り組んでいましたが、そこでは目に見えないサイズの炭素材料の開発や応用など、ずっと研究室にこもって実験ばかりしていました。博士号も取ったので元々は研究職につきたかったのですが、世の中のハードルが高くて、研究の道は断念しました。そこでまずは食べていかなきゃいけないと思い、自分のバックグラウンドを活かせる職業を考え、特許事務所に入ったんです。

研究職をされている時に、知財に関わることが多かったのですか?

特許については正直何も知らなかったです。出願の制度も知らなかったし、ずっと無縁の世界でした。大学での研究だったので、特許と直接、関わる機会もあまりありませんでした。でも、次の仕事をどうしようと考えた時、知財の仕事は色々な会社で特許をとる時に研究者の話を聞くのですが、その時に色々と技術的なことをしてきた自分のバッググラウンドが強みになると思ったんです。知財の制度をほとんど知らないままこの業界に入った感じですね。

特許事務所に入った際、初めはどのようなお仕事をされていたのですか?

最初は主に出願書類の作成や、特許庁の拒絶理由通知の対応をメインに担当していました。特許の仕事は未経験だったので、チューターの先輩に色々なことを教えてもらいながら進めていましたね。弁理士になることを前提で入っていたので、勉強も仕事のうちで。あとはお客さんのところに行って発明のヒアリングをしたり、出願書類を書いたりしていましたが、帰宅したら勉強するという生活を2年間、続けました。

澤井さんは2年で弁理士の資格を取得されたのですよね。(取得するには平均4~5年かかると言われている。)その時の勉強法なども、のちのちの連載でお聞きしたいと思っています!

実際に特許事務所でお仕事されるようになってから、澤井さんの中で『特許』という制度はどのように見えていますか?

はじめは、企業で働く研究者やエンジニアの成果として見えていました。研究開発の成果が特許として世に出て、企業の価値の一つになると。初めのころは研究者の成果としての特許という意味合いが強く、特許がどう使えるのかまでは見えていませんでした。

特許や知財は、企業にとってどのような役割を果たすと思いますか?

ひとつは、特許権は独占排他権で、特許をとった技術範囲を自分たちだけが使えるという役割です。他の人は許可を取らなければ使えない、特許はそういった性質を持つものなんですね。特許で守られているものは他の人が真似できなくて、武器や罠…壁や城と呼ぶ人もいます

もう一つは、いわゆるライセンスとしての役割です。特許を持っていて、使用したい人がいたら使わせてあげる。自分たちが持っているものを他の人に使わせてあげる代わりに、売上の何パーセントかをもらうと。そういったマーケットを広げる意味での武器にもなったりするんです。

ひとつめは自分たちのやりたいことをやる武器、ふたつめはマーケットを広げる武器。以前、ある方が『特許は魔法のようなもの』だと言っていました。色々な使い方ができるのが特許なんですよね。

世の中には色々な権利があると思うんですけど、相手の事業に直接的に影響を与える権利って意外となくて。それってほとんど知財しかないと思います。知財の使い方を企業がわかっているだけでも、マーケットをコントロールするという使い方もできるんですよね。

次回は、『スタートアップのIP経営②スタートアップとIP経営』についてお送りします!

≪スタートアップのIP経営に関する連載一覧≫

スタートアップのIP経営②スタートアップとIP経営

スタートアップのIP経営③スタートアップの知財支援とは

スタートアップのIP経営④スタートアップに知財は必要なのか?

スタートアップのIP経営⑤最初が一番大切な理由

スタートアップのIP経営⑥お金がない!!シード期の知財費用はどうする?

スタートアップのIP経営⑦ピッチで何を話すべき?事業戦略は知財戦略である

スタートアップのIP経営⑧まずはできるところから!IP経営の始め方

スタートアップのIP経営⑨特許を取るプロセスと権利化にかかる費用

スタートアップのIP経営⑩利用したい!!特許庁等のお金に関するおトクな制度とは

スタートアップのIP経営⑪知っておきたい!!特許庁等の審査に関する制度とは



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