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スタートアップのIP経営③スタートアップの知財支援とは

連載記事

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

この連載では、スタートアップに特化した知財支援サービスを提供するOne ip特許業務法人の澤井周さんに『スタートアップのIP経営』について、毎週お話を伺っていきます。『知財ってよく解らないなあ』という方はもちろん、スタートアップ経営者の方で『IP経営に興味がある』という方へ、この連載が、気づきやヒントになれば幸いです。

澤井さん profile

弁理士・博士(工学)。素材メーカ→博士課程→特許事務所→企業知財を経て、Oneip特許業務法人に参画。ドローンを中心にAI、IoT、IT、リアルテック関連などのクライアントの知財支援、コンサルティング、出願権利化業務を行う。

≪スタートアップのIP経営に関する連載一覧≫

スタートアップのIP経営①弁理士/澤井さんの経歴

スタートアップのIP経営②スタートアップとIP経営

スタートアップのIP経営④スタートアップに知財は必要なのか?

スタートアップのIP経営⑤最初が一番大切な理由

スタートアップのIP経営⑥お金がない!!シード期の知財費用はどうする?

スタートアップのIP経営⑦ピッチで何を話すべき?事業戦略は知財戦略である

スタートアップのIP経営⑧まずはできるところから!IP経営の始め方

スタートアップのIP経営⑨特許を取るプロセスと権利化にかかる費用

スタートアップのIP経営⑩利用したい!!特許庁等のお金に関するおトクな制度とは

スタートアップのIP経営⑪知っておきたい!!特許庁等の審査に関する制度とは

『商標』をきちんと考えることも、立派なIP経営なのですね。

澤井さんは現在、スタートアップの知財支援を主にお仕事をされていると思うのですが、具体的なお仕事の内容をお伺いしたいです!

基本的なところで言うと、これから知財をしっかりやりたいお客様の会社状況や競合企業の状況をヒアリングするところから始まります。競合企業は事業的に競合になる会社もあれば、技術的に競合になる場合もあります。二つの側面から競合と被っているところを調べて、お客様にアドバイスをしています。

スタートアップの特性として、予算が限られている場合が多く、予算配分にあらかじめ知財かける分が入っていることは、すごく少ないです。そこを見越したうえで、まずはお客様の事業と立ち位置を把握し、そこから分解して知財に投資する予算や、どのくらいのスパンでかけるかというところまでアドバイスすることもあります。

一般的に、弁理士さんはそこまで踏み込んでアドバイスをするものなのですか?

大企業を相手にしている弁理士さんでここまでやるケースは少ないと思います。どういう方針で知財戦略を進めるか、そこにかける予算なども企業の方で決めることが多いと思います。

スタートアップの知財支援だからこそ面白いと感じる部分はありますか?

経営者や事業主やCEOと直接やり取りできるという点は大きいですね。CEOやCTOの方ってやはり考えていることの視座が高くて、こちらが学ぶこともたくさんあります。どういった未来を見据えてテクノロジーで解決して、という、コンセプトレベルで話ができるのが面白いですね。今までに無かった新しい技術という意味でも面白いですし、どういった社会を実現したいみたいというところまで話ができるのも面白いですし、その分やりがいがあります。

大企業のお客様の場合ですと、お話するのは知財部の方や研究者の方が多く、そちらは技術術的に深掘りできる部分があり、面白いです。スタートアップと大企業と、面白さのベクトルが違いますね。

スタートアップの知財支援は任せてもらえる部分が大きいので、CEOが実現したいことがあるときに、直接提案できますし、それをそのまま実行に移せます。事業を直接的にサポートできるところはスタートアップだからこそできることだと思いますね。

スタートアップの知財支援で、大切にしていることはありますか?

一番基本的なところで、お客様の事業内容と技術、両面をしっかり理解することを大切にしています。あとはプロとして仕事をすることですね。事業戦略に深くコミットするぶん、失敗してしまった時の影響の大きさが違います。とても責任が大きいですが、その分やりがいも大きいです。

あとは解りやすく相手に伝えることです。スタートアップで知財部があるという会社はほとんどないので、お客様は知財がよく解らないという方が多い。難しいことをいかに相手にわかりやすく伝えるかを凄く意識しています。多少、表現がおかしくても相手に理解してもらうようにする。理解の幅がずれていても、ズレも含んで相手に理解してもらいながら知財を考える。

経営者の方は忙しいので、短時間で解りやすく伝えることも意識しています。

これから『IP経営』をしていきたいと考えているスタートアップの経営者は、まずはどのように弁理士を探せばよいのでしょうか?

スタートアップの方がもし弁理士を探すとしたら、まずは大きな事務所ではなく小さな事務所がいいと思います。小さい特許事務所はスタートアップでなくても中小企業をお客様にすることが多いので、お客様の事業に踏み込んだ相談をするケースが多い。そういったところの仕事をしている弁理士さんを見つけるのが良いかと思います。
あとは、スタートアップに関する知見があるかどうかを弁理士の先生に聞いてみたり。スタートアップは急激に伸びるし、スピード感がある一方でお金にはすごくシビアです。そのようなスタートアップの特性を理解してくれている方が良いと思います。あとは投資家やVCさんに聞いてみるのも良いと思いますね。

貴重なお話、ありがとうございました。澤井さんには『IP経営』について、また弁理士の資格を2年で取得された際のお話などもお聞きしていきたいと思います。これからよろしくお願いします!

知財が解らないという方はもちろん、なんとなく知財のことを考えている人や、スタートアップの支援をしたいという弁理士さんに、気軽に読んでいただければと思います。スタートアップの知財支援をしているので、その面白さや実情なども、このコンテンツで発信していければと思っています。これからよろしくお願いします!

次回は、『スタートアップのIP経営④スタートアップに知財は必要なのか?についてお送りします!

≪スタートアップのIP経営に関する連載一覧≫

スタートアップのIP経営①弁理士/澤井さんの経歴

スタートアップのIP経営②スタートアップとIP経営

スタートアップのIP経営④スタートアップに知財は必要なのか?

スタートアップのIP経営⑤最初が一番大切な理由

スタートアップのIP経営⑥お金がない!!シード期の知財費用はどうする?

スタートアップのIP経営⑦ピッチで何を話すべき?事業戦略は知財戦略である

スタートアップのIP経営⑧まずはできるところから!IP経営の始め方

スタートアップのIP経営⑨特許を取るプロセスと権利化にかかる費用

スタートアップのIP経営⑩利用したい!!特許庁等のお金に関するおトクな制度とは

スタートアップのIP経営⑪知っておきたい!!特許庁等の審査に関する制度とは



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