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ブランド力の向上に『知財』が必要な理由#1

(左)MNC New York株式会社 代表取締役 山本 未奈子さん (右)MNC New York株式会社 取締役 高橋 くみさん
インタビュー

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ブランド力を高めることが競争力の向上に直結することは皆さん周知の事実かと思います。
特にその重要性が古くから顕在化していたのは、アパレル業界ではないでしょうか。

今回は、知財を上手く活用しブランド力を高める取り組みを行っているMNC New York株式会社の取締役で知財担当の高橋くみさんに、同社の取り組みについてお話を伺いました。

『人気商品のデザインを真似されてしまった』

―高橋さんは、どういうタイミングで知財を意識されたのでしょうか?

「私たちは『France Luxe(フランスラックス)』というアメリカのヘアアクセサリーブランドの総代理店をしています。そこで、特徴的なデザインのアクセサリーを販売したことがあります。そのデザインが非常に好評で、一時期はFrance Luxeの象徴的なシグネチャーになったのですが、人気が出始めると、ライバル企業がすぐにそのデザインを真似して売り出し始めてしまいました。せっかくコストをかけてPRしても、すぐ隣の売り場で同じデザインのアクセサリーが売られてしまう状況になってしまったのです。
そんな中、また新たなデザインのアクセサリーを出したいという話が出ました。アクセサリーのデザインですから、やろうと思えばすぐに真似できます。そこで、前回と同じ事にならないように何かできないか、と考えたときに思いついたのが知的財産でした。ちょうど知り合いに弁理士の資格を持った方もいたこともあり、相談した結果、デザインの特徴を活かして特許を出願しました。」

―アパレル業界なので、商標から知的財産の取り組みを始めたのかと思っていました。最初は特許だったのですね。

「はい、そうなのです。出願した特許は、拒絶理由を貰って、いろいろと意見書を出したり審判請求を掛けたりしたのですが、最終的には特許査定が降りませんでした。しかし、その対応をしていた5年間は『特許出願中』のステイタスになっていることを打ち出していたこともあり、どこにも真似されなかったのです。特許を出願したことでもちろん費用は掛かりました。しかし、前回のような悔しい思いをしなくて済みましたし、誰からもマネをされず結果的にFrance Luxeのシグネチャーとして定着させることもできました。特許を出願していたから、デザインを守ることができたというこの経験から、知財の重要性を体感し、力を入れるようになりました。」

『自らも知識を持たないと、いざというときに戦えない』

―先ほど特許の話が出ましたが、商標に関しては、いつごろから意識されたのでしょうか?

 「商標を意識したのは、『SIMPLISSE(シンプリス)』というブランド名で商品展開を始めたときです。特に意識をしていた訳ではなかったのですが、とある企業が展開しているブランドの中に、偶然にも似ていると思う人がいてもおかしくないものがあったのです。そうとは知らず、デビューと同時に様々なメディアに取り上げてもらったのでPRになったと喜んでいたところ、すぐ訴えが来てしまいました。」

―えっ!始まってすぐにですか?

「はい。結果的には、異なるブランド名であるという主張が認められたので無事に解決したのですが、出だし早々こんな事があるのだと正直驚きました。そこから、商標は強く意識するようになりましたね。訴えが来た当初は、知財面の対応はすべて弁理士の先生にお願いしていました。しかし、訴訟が進んでいく中で、自分もきちんと知財に関する知識をつけてないと、いざという時に弁理士の先生に効果的な情報をお渡しすることができないと感じました。」

『リスクを理解した上で、判断する』

―デザインを模倣されたり、商標が似ていると訴訟されたりと、知財にまつわるトラブルに巻き込まれることによって、知財に対する意識が高まっていかれたのですね。そのようなことがあってから、ブランドを立ち上げるときに意識することは変わりましたか?

「もちろんです。これから始めるブランドに関しても、ブランド名をつける段階から弁理士の先生に相談し、商標登録の可能性がどの程度かという意見を頂くようにしています。継続的に良い商品を出していくことでブランドに対する信用は高まっていきますので、安心して使い続けられるブランド名で始めたいのですが、「絶対に他社の権利を侵害していないブランド名」というのを保証することは専門家でも難しいと思います。それでも、リスクの程度を把握したうえで、最終的に決めるのが経営者の仕事です。知財に関する情報を知らずに決めるのと、知った上で決めるのとでは、万が一トラブルに巻き込まれたとしても、それに対する納得感や準備について全く違うのです。」

『既に特許を取られていたから参入できないと思っていた。でも、実情は違った。』

―自社ブランドを更に展開していく計画はあるのでしょうか?

「これから新しく、とある商品をリリースする予定です。それは、日本のある技術を活用した商品です。同じ目的の製品はアメリカやオーストラリア、イギリス、韓国、台湾でも既に販売されています。各国で特許も出願されていましたので、最初は、私たちはもう参入できないと諦めていたのです。しかし、弁理士の先生に調べていただいたら、技術の優位性があるのでまだ参入できるチャンスはある、と教えていただきました。他の会社が特許を取得していても、技術の違いをきちんと調べてみると意外とまだチャンスがあるのだなと思いましたね。」

―どんな特許を取得しているのか、まで調べることは難しいですからね。

「そうですね。どの会社のHPにも、大きく「特許登録済」と書いてあります。知識がなければ、勝手に商品を出したら訴えられると思う方もいらっしゃるでしょう。私もそうでした。ですが、特許の内容をよく調べてもらったらそうではなかった。そのことが、新しい事業を進めるうえでのGOサインにもなりましたし、中国など、これから参入できるとわかった場所でも特許を取っておきたいという方針にも繋がりました。」

―それは冒頭の、出願中のステイタスでも商品を守ることができた、というお話にも繋がりますね。

「そうです。また、今までは女性誌に取り上げていただくことが多かったのですが、特許を持っているとビジネス誌からの取材依頼も多くいただくようになりました。そういった面でも、特許をはじめ知財はビジネスを進めていくうえで非常に重要だと思いましたね。」

―#2へ続く

ブランド力の向上に『知財』が必要な理由#2

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