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【知財イベント】『IPAS2020 Demo Day 成果発表会 レポート〜Vol.9 レグセル株式会社 成果発表ピッチ』

イベント

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

 

特許庁主導の、スタートアップの成長を事業と知財の両面で加速させる知財アクセラレーションプログラム「IPAS2020」の成果発表会「Demo Day」が3月にオンライン開催され、2020年度支援先企業がIPAS2020を通して得られた成果を発表しました。

IPAS2020では、応募総数113社の中からビジネスの将来性や知財支援の必要性等の観点で選ばれた15社に対し、特許庁より選出された知財専門家らが約5ヶ月間のメンタリングを行いました。

本記事では、レグセル株式会社の成果発表ピッチの様子をお届けします。

 

Vol.10 レグセル株式会社
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【知財イベント】『IPAS2020 Demo Day 成果発表会 レポート〜Vol.10 レグセル株式会社 メンタリングチームとの座談会&閉会の言葉』

 

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Vol.2 支援先スタートアップ15社による成果発表ピッチ(1)はこちら↓

 

Vol.3 支援先スタートアップ15社による成果発表ピッチ(2)はこちら↓

 

Vol.4 支援先スタートアップ15社による成果発表ピッチ(3)はこちら↓

 

Vol.5 株式会社チトセロボティクス
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Vol.6 株式会社チトセロボティクス
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Vol.7 株式会社Jij
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Vol.8 株式会社Jij
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Vol.9 レグセル株式会社の成果発表ピッチ

レグセル株式会社 代表取締役社長 半田 恭彦 氏

IPASでの取り組みを紹介します。まずは私どもの企業紹介ですが、当社は制御性T細胞の研究をしている会社です。免疫は外敵を攻撃して自己を守りますが、制御性T細胞は免疫細胞の過剰な炎症を抑える働きを持っています。当社はこの制御性T細胞により免疫を適切に抑制することで、免疫本来の力を引き起こす治療法を研究しています。鍵となるのは抑えるべき免疫細胞のみを抑制するということであり、これを抗原特異性といいます。

 

ノウハウの塊である技術の知財戦略

 

当社は抑えるべき免疫活動のみを抑制するこの抗原特異的な制御性T細胞を、治療に十分な数だけ確保できる手法を開発済みです。具体的には患者様の血液中にある免疫細胞、つまり自家細胞から、当社が見出した最適な培養条件で、高機能で安定した制御性T細胞を十分な量を確保することに成功しており、その細胞を患者様に治療として投与することを想定しています。

しかし、当社の製品となる制御性T細胞は、体内にもともと存在しているものと同じです。そこに新規性はありません。ただ、最適化した培養条件は、多くの試行錯誤の末に獲得したもので、ノウハウの塊であります。つまり画期的な治療法の可能性を秘めていながらも知財をどう確立するかが課題であり、それらを打開するためにIPASに応募しました。

 

技術視点と事業視点の知財ギャップをどう埋めるか

 

IPASではまず「知財戦略とは何か」からスタートしました。保有技術から知財戦略を発想すると、その技術範囲内でしか知財戦略を考えられません。また一方でビジネスの視点から求められる領域の知財もあり、この2つは必ずしもマッチしません。またビジネスや製品ベースで検討した特許は、範囲が狭いため模倣される危険もあります。そのギャップをどう埋めるかが私どもの知財戦略になります。

IPASプロジェクトの活動前半は、目指すビジネスを具体化することに注力しました。当社の製品は制御性T細胞という細胞です。その細胞の取るべき特許を縦軸に取り、横軸には当社の製品や既存治療法を取り、表にして比較、整理をしました。特許になり得る添付文書上のポイントを意識して整理することで、当社製品の特徴や優位性を具体的に共有でき、その後の知財戦略を検討する上でのベースとなりました。

 

ビジネスストーリーを文章に落とし込む

 

後半は先ほどの表を元に、まずビジネスストーリーを文章に落とし込みました。これにより、目指す事業スタイルをより現実味を持って理解でき、そのことが知財戦略の検討の幅を広げることにつながりました。そして実際のデータやビジネス上の制約条件を勘案しながらクレーム案の検討を繰り返し、最終的な知財戦略を構築しました。

最後に今回のIPAS活動のポイントを振り返りますと、まず初めに「知財戦略は何のためにあるのか?」ということから最初に押さえました。つまり、特許は事業成功の1つの要素であるという至極当たり前のことではありますが、具体的な検討をする中でつい忘れてしまいがちなそもそも論を初めに認識しました。

 

ビジネスを念頭に置いて知財を考える

 

なんでもかんでも特許出願すれば良いという訳ではなく、ビジネスを念頭に置きながら「そもそも出願をするのか?」「あるいは秘匿をするのか?」という検討は、自社の体力や経営環境などを考慮したうえで、それぞれの現実解があり得るということを学びました。何を出願するかについては、複数の特許を組み合わせることで権利範囲を広げるだけでなく互いに補完する特許を取得することで、より強固な知財ポートフォリオの策定を目指しました。結果、当社独自の知財戦略を構築することができました。

このような貴重な機会を得られ、特にメンターの先生方には大変感謝しております。この場を借りて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

 

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