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スタートアップが弁理士と出会うには?株式会社アジラがCIPOを創設した理由とは #1

インタビュー

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日本人とベトナム人によって共同で設立された株式会社アジラ。現在は世界トップクラスの行動認識AIサービスを展開しています。

 

知財戦略にも力を入れており、2018年より顧問弁理士であった相田 隆敬さんとともに7件ほどの画像からの行動認識に関する特許を出願。2021年には社内にCIPO(最高知財責任者)を設立し、相田さんを執行役員メンバーとして迎えました。

 

今回は、株式会社アジラのCMO(最高マーケティング責任者)である溝呂木 聰さんに、知財戦略に力を入れ始めた経緯や、知財戦略を検討する上で大切にしていることなどを、CIPOの相田さんも交えてお伺いしたいと思います。

 

【後半はこちら】

スタートアップが弁理士と出会うには?株式会社アジラがCIPOを創設した理由とは #2

 

事業のコアを知財で守る

 

ー株式会社アジラの事業内容について教えてください。

溝呂木さん
アジラは、一言で言えばAIのソフトウェアを提供しています。これは映像から骨格のデータを抽出し、解析できるシステムです。例えば千鳥足で歩いていたり、倒れたり、誰かを殴るなど通常の動きから外れた行動をすると、その行動を骨格から判定し、アラートを出します。

コインパーキングや自動販売機の前で何回もしゃがむなど、単純に動きだけでなく「この場所でこの動きを繰り返すのはおかしい」というところまでAIで判定できます。防犯カメラなどに私たちのシステムを取り付けていただくなどが一番わかりやすい導入例で、防犯警備の省力化が可能です。

骨格から行動の違和感を検知するシステムのほか、人物を特定することも可能で、人が入れ替わったり違う視点になったとしても特定ができます。個人の動きの解析を詳細にできることから、防犯警備以外でもスポーツや医療、個人認証システムのプロダクトとも非常に相性が良く、派生して様々なソリューションの開発を行なっています。

 

ーいつ頃から知財を意識していましたか?

溝呂木さん
2015年6月の会社設立時は、社内で知財を全く意識しておらず、2017年より相田さんに顧問をお願いし、今に至ります。知財を意識するきっかけは、ある大手企業とのやり取りの中で、担当者の方に「良い技術を持っているから、これからもっと事業を進めていくのであれば知財を管理した方が良い」とアドバイスをいただきました。私たちの事業はテクノロジーやソフトウェアがコアです。それならば知財をしっかりケアしていかなければならないと気づかされ、専門家の方をお迎えしようというところで、テクノロジー関連の知財のご経験を豊富に持つ相田さんに相談をしたことからアジラの知財戦略がスタートしました。

 

ー株式会社アジラと相田さんの出会いの経緯を教えてください。

相田さん
はじめにメールでお問い合わせをいただき、どういう技術を持っているかなどヒアリングをさせていただきました。そこから食事会などを重ねてアジラの皆さんとコミュニケーションを取り、関係を深めていき、2021年よりCIPOとして正式にジョインしました。現在もアジラに所属しながら自分の特許事務所も経営していますが、お客様は中小企業やスタートアップの方がほとんどですね。

 

知財戦略と事業戦略を両輪で考える

株式会社アジラ CIPO(最高知財責任者) 相田 隆敬さん

 

ースタートアップの仕事はやり甲斐を感じますか?

相田さん
スタートアップとの仕事は、ひとつの特許に対する時間が通常の二倍三倍とかかることも多いです。ですが、毎回新しい発明を扱うことができ、新しい価値を世に出すお手伝いができていると実感できるので、とても楽しく仕事ができています。

 

ー知財戦略をする上で一番大切にしていることはありますか?

溝呂木さん
テクノロジーやソフトウェアは業種的に中身が見えづらいです。AIであれば、ますます中身がブラックボックスなので、その中でノウハウとして社内で守るところ、特許として権利化するものを正確に判断することを一番大切にしています。相田さんが社内に入ってくれたことで、知財ポートフォリオも組み立てやすくなり、効果的な知財戦略ができていると感じます。

相田さん
知財戦略と事業戦略を両輪で考え、社内で守るものと世に出して権利化するもの両方を考えています。技術には、製品ベースで見えやすい部分と、内部制御等の見えにくい部分と、がありますが、どちらを特許出願する場合も、特許出願の内容を見ただけでは高精度なものを作れないように、ノウハウを秘匿するよう心掛けております。幸い、アジラの技術には多数のノウハウが用いられているため、「特許権を取得しつつ、仮に他社が模倣したとしても高精度なものは作れない」という戦略を立てられております。

 

―後半へ続く

後半では、知財戦略を強化したことで見られた変化や、これから知財戦略を考えるスタートアップへのアドバイスなどをお話しいただきました。

スタートアップが弁理士と出会うには?株式会社アジラがCIPOを創設した理由とは #2

 



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