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「デザイン」を経営の全てに取り入れる新しいIP経営#1

インタビュー

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「デザイン」を経営の全てに取り入れる新しいIP経営#2

すべては、猫様のために。」を掲げ、猫(以下「猫様」という)の生活をテクノロジーで見守る「Catlog」を提供する株式会社RABO。しかし、そのサービスは猫様にとどまらない。彼らは、Bio-Loggingという見えない動物の時間を見えるようにする調査・研究手法と、それにより得られたデータにMachine Leaningを応用することで全ての動物の行動を見守ろうとしている。

 海洋大学博士前期(修士)課程出身、事業会社を数社経て起業したCEOの伊豫 愉芸子氏と、CCO のブリ丸氏に、「デザイン」を経営の軸に置く必要性と重要性を語ってもらった。

「知財」は、経営上のカードの一

ー「動物の行動の研究」というイメージからは想像つかなかったRABOの会社WEBサイト。デザインがとても洗練されていると思うのですが、RABOにとって「デザイン」と「知財」はどのような関係なのでしょうか?

 知財は会社を運営する上でのカードの一つという位置づけです。例えば、会社経営の中の一つに資本政策があり更に株式や資金調達など細かいものがあるのと同じで、会社経営の中に知財戦略というものが一つの手段として存在しています。経営上の優先順位は、その会社の事業の内容や展開の仕方によって変わってくるけれど、その中で、私たちが早くから経営に知財をとりいれている理由は、単なる見た目の綺麗さとかにとどまらない「デザイン」というものを経営の中で重視し保護したいと考えていたからです。

-確かに、プロダクトに限らずオフィスもおしゃれですよね、こういった「デザイン」を経営の中で重視しようということですか?

 一般的には「デザイン」というと、見た目がかっこいいとか、プロダクトやサービスの表面的な部分のことにとらわれてしまうことが多いのですが、そうではなく、体験も含めたものが「デザイン」であると考えています。例えば、プロダクトやサービスをお客さんが使ったときに感じる心地よさ、気持ちよさ、イケてる感、そういうのまで全部ひっくるめたものを全てデザインと呼んでいます。そういう経営思想の中で、見た目(スタイリッシュさ)を保護する意匠や、そのブランドは早くから差別化し保護しようと考えていました。ブランドは世界観だと考えています。プロダクトが提供する世界観を含めてデザインと呼んでいます。だから、プロダクト(Catlog)の名前や世界観を象徴する為に必要な商標(猫様TM)、つまり、会社が持ちたい世界観を保護するネーミングは法的に保護しようとしています。

 

-例えば、経営の中にCCOを入れているのも含めて世界観??

 CCOはChief Creative officer ではなくChief Cat Officerです(笑)。

 

-え、Chief Cat Officer?!ですか。。。

 はい、私たち猫様好きとしては、人間よりも、猫様の方が偉いと思ってます(笑)。人は肩書やレイヤなどの上下関係をつけたがるが、私たちは、すべては猫様のためであり、猫様が最上位の概念という共通認識がある。お客様は猫様であるということです。

-だから、ユーザーを考えたときに、まずは猫様が出てくる。そして猫様にとってよりよいデザインとは何なのか、という思考に自動的になる、ということですね。伊豫さんは、なぜ猫様が好きなのですか?

 猫様に限らず、動物は全て好きです。ただ、その中でも猫様が殿堂入りしているという感じです。なぜ猫様が好きかについての答えはないです(笑)どう見ても、どう考えても猫様が好き。理由はない。なんで、とかいう話ではない(笑)。猫様と、バイオロギングと、プロダクトをかけあわせたら「Catlog(キャトログ)」になったんです。

※動物全般が好きだという伊豫氏

 海洋大学時代には、釜石湾沖の無人島での生態調査研究も行っていたそう。食料や水を持ち込んでのサバイバル生活が彼女のベンチャーマインドを養っていたのかもしれない。

世界観を作るのがデザイン、知財はそれを保護するための手段の一つ

Catlogの世界観についてデザインとの関係でもう少し詳しくお話し聞かせてください。ここでいうデザインとは、猫様のためのデザインなのか?猫様を飼う人のためのデザインなのか、どちらなのでしょうか?

 私たちは、猫様が身に着けるものについては猫様が快適につけてもらえることをまず考えています。でも、猫様はお金持っていないじゃないですか、お財布を持っているのは猫様の飼い主です。その飼い主のお財布からお金を出してもらうわけなので、どのようなデザインだったらお金を出しやすいか、ということを考えます。

 

-猫様のために飼い主が協力しやすいようなデザインを作ってあげるということですよね?

 そうですね、そこに関しては飼い主がお金を払いたくなるようにするためにはどんなデザイン、どんなプロダクトにすればいいのかを考えています。これまで、猫様に限って言うと飼い主のお金の使い先があまり無かったんです。犬と違って猫様は服を着ないし、家から出るの嫌なので旅行とかにも連れて行けないんです。最近でこそ、ごはんのプレミアム版とか出てきましたが、他は、数百円のおもゃちくらいで、お金を払いたくてもは払い先がなかった。

 

-そんな中で生まれた新しい体験がCatlogということですね

 はい、実はCatlogの箱を見て頂くとわかるように、結婚指輪のように、箱をパカッと開けて猫様の首につけてあげられるようになっています。あたかも、結構指輪をつけて「あなたのことを一生大切にするよ」という感じで首につけてあげるような方法でペンダントを付けてあげる経験をデザインしたんです。

 

-確かに、この箱はおしゃれですね。Catlogは、これに入って届くのですか?

 はい、これ、実は中をあけてペンダントを取り出すとその下に中敷がはいっているんですペンダントを出したあとに猫様から抜けたひげや毛玉(注:ブラッシングした後、大切に取っておく方もいるそう)、生え変わった乳歯を見つけたときにそれを入れてあげるんです。パッケージに中敷きをいれてあげてそういうものを保存できるようにしておけますし、ペンダントの箱も含めてこの子の一生を見守ってあげる、そういう体験をデザインすることができます。

 

後編へ続く

「デザイン」を経営の全てに取り入れる新しいIP経営#2



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