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生活の可能性が拡がる喜びを。世界のHondaが見据えるオープンイノベーションの可能性とは。#2

本田技研工業株式会社 知的財産・標準化統括部 統括部長 別所 弘和さん
インタビュー

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

 

#1はこちら↓

生活の可能性が拡がる喜びを。世界のHondaが見据えるオープンイノベーションの可能性とは。#1

 

お互いに知恵を出し合い、より良い技術を開発したい

 

―相手からアクセスがあった場合は、協業はどのように進むのでしょうか?

解決したい課題の大きさによって進め方が変わります。アクセスされた相手方がご自身で技術を持っていて開発を進められる場合は、比較的スムーズに進みます。

しかしながら、クルマやオートバイ領域であれば知見があるためアドバイスができるのですが、全くの別領域だとアドバイスなども難しいですね。

また「何日間、技術者を派遣してください」というのは経験がありますが、何年間もかけてHondaで開発するというのはまだやった事がありません。

話を進める中でゴールが見えてきた場合は、こちらも時間をかけて一緒に開発していきます。あくまでも知財発となると、特許やノウハウ、あるいは技術者の派遣による支援が手段となります。

またその他に、アメリカや日本などのスタートアップも含めた世界6ヶ国の企業で、双方にお金や知恵を出し合って共同研究を進めた例もあります。そのスタートアップは今ではかなり成長しましたが、お互いに知恵を出し合い世の中がより良くなる技術を開発できた良い方法だったと感じています。

 

―Hondaが最終的に一緒に事業やプロダクトを展開していくというパターンもあり得るのでしょうか?

それもあり得ますね。もともと小さい会社を本田宗一郎という天才技術者が様々協業などを経てオープンイノベーションを進めてきたという歴史をHonda自身も持っているので、これからもそうありたいと考えています。我々自身が力を借りる場合もあるかもしれませんし、世の中をより良くするために助け合うパターンもあるかもしれませんね。

 

Honda自身がイノベーティブな歴史を持つ

 

―オープンイノベーションへの取り組みが浸透したHondaは、どう変わっていくのでしょうか?

Hondaはもともとはイノベーティブなスタートアップだったという歴史を持っています。だんだん企業規模が大きくなり世の中には違う印象を持たれているかもしれませんが、会社にはそのDNAが流れています。スタートアップとの連携は、Hondaの技術者にも良い刺激になると思っています。スタートアップにとってもHondaの技術を使えるメリットもありますし、双方に刺激を受けてより良いものが作れるのではと期待しています。

技術者の方は色々な形で集中して取り組んでいるのですが、世の中の社会課題はもっと複雑で矛盾に溢れています。新しい角度からスタートアップの方と協業できるのは、Hondaにとってもとても良い事です。そのような取り組みが進めば、みんなで力を合わせてより良い商業や技術、サービスを提供できるようになり、世の中がより良く変わっていくと思っています。

 

―Hondaはグローバルで「Honda Xcelerator」というアクセラレーションも行なっていますが、こちらとの接続はあり得るのでしょうか?

あり得ますね。先ほどお話しした、アメリカや日本のスタートアップとの連携はまさに「Honda Xcelerator」から見出したものです。シリコンバレーにいる責任者とは月1~2のペースで連絡を取り、連携しています。実際のMTGに知財部の若者も数名参加し、良い刺激をいただいています。

我々は新規事業開発にも力を入れており、実際にアクセラレーションで事業開発や連携が進むパターンも多くあります。Honda自身が実際に行動を起こすことが大切で、アクセラレーションからの新規事業開発などは今後も力を入れていくと思います。

 

企業の規模によらず、より良いものを作りたい

 

―特許を解放した目的の1つが社会課題の解決であると感じたのですが、開発の中で新たな課題の発掘を行なっているのでしょうか?

特定の技術分野の技術者が、開発の中で知財を整理し、課題を見つけるのはバイアスがかかる部分もあり、難しいと感じています。課題の発掘に関しては、知財部門の得意分野です。知財部は特許の登録まで技術を分析しなければならず、冷静な視点で技術を見ることができます。知財部が積極的にIPランドスケープという手法を使うことで、多くの課題発見ができると感じています。

 

―スタートアップがHondaの技術を使いたいと手を挙げた時、自己資本が少なく費用を払えないこともあると思います。ライセンスの支払い方法は多様に準備されているのでしょうか?

基本的には低額に抑えるようにしています。またスタートアップの方は、そのために資金調達するというのも難しいと思うので、将来の株式等でお支払いいただくなど、完全に無償というのは難しいですが、理屈が立つのであれば、ご要望に応じて柔軟に対応していきます。

実際に株式で取引したスタートアップの例もあります。技術が社会実装すれば、Honda自身も良い刺激や影響を受けます。お金のせいで素晴らしい技術が世に出ないという方が、デメリットが大きいと考えています。

 

―オープンイノベーションがいかに上手く進むかは、今後の日本において重要なポイントだと思うのですが、Hondaのような大企業と中小企業やスタートアップの連携をもっと進めていくためには、どうすれば良いと思いますか?

日本は海外と比較すると、相手のことを慮り過ぎてなかなか行動に移さないことが多いと感じています。日本人のその性格がハードルになり、オープンイノベーションというビジネスがスムーズに進んでいないように感じます。失敗してはいけないからやめておこうという心理的ハードルがネックになっていると思います。

協業も毎回すべてがうまくいくわけではなく、タイミングなどの色々な状況が重なり、やっと上手く進むものだと思います。中小企業や大企業などの規模に寄らず、より良いものが作れたらと思っているので、まずはお気軽にお問い合わせいただけたら嬉しいです。

 

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生活の可能性が拡がる喜びを。世界のHondaが見据えるオープンイノベーションの可能性とは。#1

 



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