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【VIVA!DRONE×YES! IP】『空飛ぶクルマ』、開発の裏にある知財戦略

インタビュー

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今回は、ドローンとテクノロジーの総合情報サイト『VIVA!DRONE』とのコラボ企画となっております!

VIVA!DRONE』では、『空飛ぶクルマ』の開発経緯などについてインタビューしております。是非ともご覧ください!

【YES!IP×VIVA!DRONE】『空飛ぶクルマ』実現間近。SkyDrive社が見据える日本の空とは

2020年8月28日(金)、驚きのニュースが目に飛び込んできました。

―株式会社SkyDrive、『空飛ぶクルマ』の国内初の有人公開飛行に成功―

株式会社SkyDriveはその発足の経緯のユニークさからも注目を集める、今話題のスタートアップです。

今回は、『空飛ぶクルマ』の開発の裏に隠された知財の取り組みに注目して、株式会社SkyDriveの技術渉外責任者である山本賢一氏に、知財を意識したタイミングや戦略についてお話しを伺いました。

―現在、航空機や飛行体システムに関する商標、意匠を出願されておりますが、知財はどのタイミングで意識し始めたのでしょうか?

SkyDriveの前身である有志団体CARTIVATOR(※1)の頃から、知財は意識していましたね。

特に商標は、製品のコンセプトが出来上がった2017~2018年くらいのタイミングで早めに出願しました。特許に関しても、早い段階でいくつか出願しておこうということで、会社が立ち上がる直前くらいには出願をしていきました。

(※1)有志団体CARTIVATORとは、「モビリティを通じて次世代に夢を提供する」をミッションに2012年に始動した『空飛ぶクルマ』の開発を行っている有志団体。株式会社SkyDriveは、CARTIVATORの一部のメンバーによって設立された。

―知財を意識してから出願まではどのようにして進めていったのでしょうか?

もともとCARTIVATORのメンバーの中に本業が知財担当の方がいたので、その方と知財を担当する組織づくりも含めて、知財の準備を進めていきました。

―今年(2020年)から知財責任者として弁理士の福島さんがジョインされていますが、採用に至る背景やその狙いを教えてください。

純粋に特許を出願するだけであれば、外注だけでも良いのかなと思います。ただ、SkyDriveは『世の中にないもの』を作っているため、出願のところだけを見ても、ビジネスモデル特許やモノの特許など幅広い特許を取得していく必要がありますし、それ以外にも意匠や商標といったブランディングのための知財も考えていかなければいけません。

―『世の中にないもの』をつくっているSkyDriveにとっての知財は、ただ出願するだけではないということですね。

はい、我々のようなスタートアップには、知財の原石がたくさんありますが、出資いただいたり、共同研究をしたりなど、いろいろな手段を使って、我々の限られているお金や資源をブーストしていかなければいけません。

そうなると、更に例えば共同研究となれば、契約によっては知財が半分半分になってしまう可能性もあります。さらには、出資を受ける場合には、すべての知財を持ってかれてしまうような状況になる可能性もあります。

そういう時に備えて、我々が大事にするのはどこなのか、どこを守って、どういうところと共同研究をするべきなのか、逆にどういうところとは共同研究をするべきではないのかなどを、予めきちんと決めておく必要があります。そういった社内の作戦をしっかりと作らなければいけないフェーズに来たと思ったので、知財の専門家にジョインしていただきました。

―スタートアップにとって知財にかける予算の確保が難しいかと思うのですが、そのあたりはどのように予算を確保しているのでしょうか?

実際のところ、まだそんなに予算はかけていないです。株主であるドローンファンドが出資しているDRONE iPLAB(※2)の取組も活用し、直接費用負担をしなくても権利化していくという方法もとっています。

(※2)DRONE iPLABとは、Drone Fund(ドローンファンド)が投資先企業の知財戦略をサポートするために設立した、特許共同出願専門会社。中畑 稔氏が代表を務め、Drone Fundが出資するドローンスタートアップの知財を一括管理・運用し、知財戦略を支援している。

―協賛スポンサーが100社とのことですが、それぞれの知財の取り扱いはどうなっているのでしょうか?

協賛100社は、有志団体CARTIVATORからの累積になります。CARTIVATORに対しては資本提携という要素はなく、協賛金を頂いていて、直接的な権利を渡すという契約になっていないのがほとんどです。このように初期の頃は、権利の帰属はできるだけCARTIVATORに残るようにお金を集めていましたね。

一方、株式会社SkyDriveとしては、企業に出資していただいたり、出向という形でSkyDriveで働いて頂いたりしていて、この場合は個別の契約を結んでいます。

―最後に、知財戦略で意識していることはありますか?

『攻め』と『守り』ですね。

少なくとも国内では、SkyDriveは人が乗るマルチコプターの開発ではトップランナーです。将来的にここは使わなければいけない、もしくは使う可能性が高いだろうなという特許は、他社の参入を防ぐためにも、早めに、かつ広めに出願するようにしています。かたや、世界を見ると、空飛ぶクルマのプレーヤーは多いですし、ドローンやマルチコプターという括りだと、すでにたくさん商品も出ています。そのため、他社の特許を踏まないというところは大事かなと思っています。他社の特許の出願状況もしっかりと調べて、大きいリスクは回避できるようにして進めていくという『攻め』と『守り』の二本立ての戦略を意識しています。



今回は、ドローンとテクノロジーの総合情報サイト『VIVA!DRONE』とのコラボ企画となっております!

VIVA!DRONE』では、『空飛ぶクルマ』の開発経緯などについてインタビューしております。是非ともご覧ください!

【YES!IP×VIVA!DRONE】『空飛ぶクルマ』実現間近。SkyDrive社が見据える日本の空とは

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