ドワンゴが生み出した令和の勉強法!ケンコバの”いい声”で学べる「AIケンドーコバヤシがよむ法令集」って?#1
この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。
株式会社ドワンゴのオーディオブック配信サービス「ListenGo by dwango.jp(リスンゴ)」にて、弁理士試験に役立つ新教材「AIケンドーコバヤシがよむ法令集」の配信が開始されました。
今回は「AIケンドーコバヤシがよむ法令集」の開発に携わられた、株式会社ドワンゴの塩見達郎さん、また監修として参加されたIP Tech特許業務法人副所長である湯浅さんに本サービスの開発経緯から今後の展開までお話をお伺いしました。
#2はこちら↓
ドワンゴが生み出した令和の勉強法!ケンコバの”いい声”で学べる「AIケンドーコバヤシがよむ法令集」って?#2
隙間時間を活用できる新コンテンツ
―ListenGoとは、どのようなサービスなのでしょうか?
塩見さん
ListenGoはオーディオブックの配信サービスです。オーディオブックというのは、書籍をプロの声優や俳優、ナレーターが朗読をするデジタルコンテンツです。本サービスの立ち上がりは2021年1月8日で、現在はPCとスマホ向けに展開しています。
オーディオブックには、通勤や通学、家事の途中やお風呂に入っている時など耳だけが空いている時間にも読書ができるという特徴があります。隙間時間を有効活用して、耳で読書ができるのがオーディオブック最大のポイントです。一昨年の夏頃からアイディアがあり、そこから一年半ほどの準備期間を経て、2021年1月のサービススタートに向けて準備を進めていきました。
法令集を音声合成で朗読する
―「AIケンドーコバヤシがよむ法令集」を配信することになった経緯を教えてください。
塩見さん
「AIケンドーコバヤシがよむ法令集」は、東芝デジタルソリューションズの「音声合成ミドルウェア ToSpeak」の技術を活用した音声合成コンテンツです。オーディオブックのコンテンツは生身の人間が朗読するパターンがほとんどですが、弊社はListenGoの立ち上げ以前から音声合成コンテンツに着目し、活用法を検討していました。
ToSpeakの音声を聞いたときに、読み間違いの少なさや、有名な方に声を変えた際の再現度の高さなど、限りなく生身の人間の声に近いことに感動しました。一方で、読み間違いは少ないものの、生身の人間の朗読のように抑揚や感情の込め方など、人の心に響くような読み方レベルには至っていない状況でした。ToSpeakの技術の高さに非常に驚いたものの、本や小説を読ませるにはまだハードルが高いのではと感じていたところ、弁理士でありドワンゴ出身の湯浅さんに、弊社のスタッフがたまたま本件について相談をする機会がありました。
湯浅さんに音声合成の取り組みを話した際に「弁理士試験の受験生に向けた特許法や意匠法などの朗読コンテンツはすでに世に出ているので、需要があるのでは?」というお話を伺いました。いくつかアイディアが出ていた中でどのように音声合成コンテンツを具体化するか悩んでいたところ、湯浅さんのアイディアが採用され「AIケンドーコバヤシがよむ法令集」が生まれました。
初めは、クオリティの高さに驚いた
―湯浅さんは監修という立ち位置で参加されたのですか?
湯浅さん
最初にドワンゴのスタッフから「ListenGoというサービスを出したばかりで、新しい音声合成コンテンツを検討している」という相談を受けました。著作権法上の13条では「権利の目的とならない著作物」という項目があります。小説などの音声化を勝手に行うことは禁じられており、権利処理が必要になります。しかし「条文や判決文などは法律的に許容されているため、著作権法の対象にならないコンテンツである」という情報提供をしました。
自分も受験生の時に法律の条文をカセットテープに吹き込んで移動中に聞いたりしていたので、弁理士試験を受ける方や司法試験を受ける方にニーズがあり、なおかつ権利処理をする必要も無いから本件に合うのではないかと思い提案しました。
私は判例もニーズがあると思っています。最新の有名判決などをキャッチアップしている弁護士もいるので、そのような最新情報を耳だけで聞けるのであれば楽ですよね。提案した翌日には企画として前向きな反応をいただき、そこからはスムーズに事が進みました。実際に「AIケンドーコバヤシがよむ法令集」を聞いたときは、クオリティの高さに純粋に驚きました。機械音声ではなく、また生身のナレーターでもなく、ケンドーコバヤシさんの”いい声”と法律の読み上げは非常に相性が良いと感じました。
#2へ続く↓
ドワンゴが生み出した令和の勉強法!ケンコバの”いい声”で学べる「AIケンドーコバヤシがよむ法令集」って?#2