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【知財イベント】WIPO日本事務所主催「世界知的所有権の日2021記念オンラインイベント」レポート Vol.3(3)~パネルディスカッション第一部『中小企業と知財、企業に向けた課題』~

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Vol.3(2)はこちら↓

【知財イベント】WIPO日本事務所主催「世界知的所有権の日2021記念オンラインイベント」レポート Vol.3(2)~パネルディスカッション第一部『中小企業と知財、企業に向けた課題』~

 

【WIPO日本事務所主催「世界知的所有権の日2021記念オンラインイベント」関連記事】

【知財イベント】WIPO日本事務所主催「世界知的所有権の日2021記念オンラインイベント」レポート Vol.1~開会式~

 

【知財イベント】WIPO日本事務所主催「世界知的所有権の日2021記念オンラインイベント」レポート Vol.2~基調講演~

 

メルカリのグローバルな権利取得の考え方

 

澤井さん
メルカリの米国のホームページも拝見しました。日米で事業を進めるメルカリにとって、グローバルな権利取得の考え方につきまして、有定さん教えていただけますか?

 

有定さん
非常に重要だと思います。二つの側面から見ないといけないかなと思っていて、アメリカで事業を展開するのならアメリカに、中国で事業を展開するのなら中国にという風に、どこの国で事業を展開するかによって、どの国に出すかというのも決まっていくというのも一つあると思います。

また、もう一つの側面からいうと、例えば日本で市場があったとして、競合が中国やアメリカの会社となったときに、その中国やアメリカの会社のシェアはどこで持っているのかというのを検討していくと、仮に自分たちの会社が日本でしかビジネスをしていなかったとしても、競合が中国やアメリカでメインの市場を持っているとなると、日本で訴えられたときに、どこで訴え返すのがいいのかという議論になってくると思います。

そのため、どこで自分たちがビジネスをしているかだけでなく、競合がどこをメインの市場としているかというところも見ながら、外国の権利の取得を考えるのがいいのかなと思っています。

 

金融機関の知財に対する意識の低さ

 

澤井さん
報告書の第二章には、『中小企業、スタートアップの知財創造、活用の促進におきましてイノベーションを促進するためには、中小企業やスタートアップが知財の創造、活用を積極的に行うことのできる環境が必要』と記されています。知財政策に関する意見の取りまとめの中心的な役割のお立場にいらっしゃる久貝様のお立場から、この点につきましてもう少し教えていただけますでしょうか?

 

久貝さん
私どもは毎年政府に対して提言を出しておりまして、いくつかは採用していただき、政策になってきています。またこの度、中小企業に対しては、法律改正をして、一律2分の1の特許料出願減免措置を制定してもらいました。やはり中小企業にとっては、出願のコストというのは結構大きいものがありますので、この措置は大変ありがたく、出願件数の増加にも繋がると思います。

そして、特許の価値については、価値を評価して金融機関が融資をする、あるいは特許をスタートアップキャピタルが出資をする時の評価にカウントしてもらうということになるといいのですが、日本の場合は、まだそこがうまくいっていないという感じがします。

その解決策として、現在、日本で強い力を持つ政府系の金融機関に知財の特別融資枠を作ってもらったり、あるいは、民間の融資の銀行の場合はなかなかまだ難しいと思うので、保証協会のほうで知財保証枠というようなものを作ってもらうといったことを要望している状況です。

また、どちらにしましても、金融機関の知財に対する意識はまだまだ高くないと思いますので、ぜひ専門家の方から金融担当に対してPRや重要性についての働きかけをしていただければありがたいと思っております。そして、是非ともいい特許を持っている中小企業に対して、表彰する機会をもっと広げていただきたい。だいぶ広げていただいておりますが、まだまだ大企業中心になっているという感じがしますので、是非とも中小企業の特許知財についても注目していただければと考えております。

 

創業当初の知財専門家の役割

 

澤井さん
創業時の知財専門家の不在というのもテーマになっております。私がアメリカに駐在していた時の印象としては、多くのアイディアを持つ企業はありますが、その中でも成功するのは、当初から知財専門家を抱えている企業だということです。弁理士会会長でおられます杉村様にお伺いします。具体的なエピソードも含め、創業当初の知財専門家の役割についてお聞かせいただけますでしょうか?

 

杉村さん
まず、人と人との出会い、これはスタートアップや中小企業のビジネスに大きな影響を与えると思います。同じく、どのような弁理士や専門家と出会うか、これも然りです。私も多くの起業家の方々にお会いいたしました。その後に順調に業績を上げた企業もありますが、十分に業績が上げられなく、残念ながら撤退した企業もあります。

それらを見ていますと、一番の原因は、やはり知財以前のビジネスプランが重要な役割を占めていると感じております。そして、プラスアルファが弁理士などの専門家との出会いです。ビジネスプランについては、弁理士の立場で知財を絡めてアドバイスできるように、経営面の視点も備えた人材育成プランを図っているところでございます。また、弁理士以外の他の専門家、例えば弁護士や中小企業診断士、税理士など、このような専門家とOne Teamになって、中小企業やスタートアップを支援できるような体制の構築も必要ではないかと思っています。

その際に、適切な弁理士がスタートアップ企業等と出会えるように、日本弁理士会といたしましては、その各企業のニーズにマッチできるような弁理士を推薦していきたいという風に考えておりますので、是非ともご活用いただければと思います。

また、成功事例といたしましては、外部の弁理士とスタートアップがタイアップいたしまして、年間に100件近くの出願をしたという事例がございます。日本では出願してから1年6か月で公開になりますが、1年間で100件ということでございますので、公開になった時点では他の企業がもう入ってこられないということで、自社の優位性を担保しながら事業を展開したというような事例もございます。

 

メルカリ知財担当が手がける当たり前なカルチャー作り

 

澤井さん
メルカリのホームページを拝見したところ、『メルペイにとって、有定はたった一人の知的財産専属担当者。特許出願が当たり前なカルチャー作りをスピーディーに手がけています。』と書かれていました。当たり前なカルチャー作り、どのようなことをされているのでしょうか。

 

有定さん
2018年5月に入社したのですが、その当時は人数も100人以下でかなり少ない状態でした。全社集会のようなものが毎週金曜日にあるのですが、当時はワンフロアに全員が集まって、勉強会などをよくやっていましたね。あと、入社した次の日か2日後ぐらいから、各チームに勝手に勉強会を設定してやっていたので、そういうところで浸透させていき、ある程度馴染んできたなというタイミングで勝手に仕組みを作って自動的に動くようにしました。それから結構楽に回るようになったかなと思います。

 

Vol.3(4)へ続く↓

【知財イベント】WIPO日本事務所主催「世界知的所有権の日2021記念オンラインイベント」レポート Vol.3(4)~パネルディスカッション第一部『中小企業と知財、企業に向けた課題』~

 

Vol.3(2)はこちら↓

【知財イベント】WIPO日本事務所主催「世界知的所有権の日2021記念オンラインイベント」レポート Vol.3(2)~パネルディスカッション第一部『中小企業と知財、企業に向けた課題』~

 

 

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