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【知財イベント】完全オンライン型展示会「すごい知財サービスEXPO2021」レポート Vol.1 来賓の挨拶(WIPO日本事務所長 澤井 智毅 氏)

イベント

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2021年8月19日(木)~20日(金)の2日間、知財業界最大級の大規模商談イベント「すごい知財サービスEXPO2021」が開催されました。「SHOWBOOTH」を用いて完全オンラインで開催された本イベントは、気になる知財サービスや製品の資料ダウンロード、動画閲覧をはじめ、実際に商談ルームでの商談などができ、オフライン展示会と変わらない空間を提供。また、知財サービスに特化した出展企業によるセミナーの視聴や業界関係者とも自由に交流ができる交流ラウンジ機能もあり、大反響のイベントとなりました。

 

本記事では、本イベントにて開催されたセミナーの様子をお届けいたします。

 

Vol.1 来賓の挨拶(WIPO日本事務所長 澤井 智毅 氏)

 

「なぜ世界は知財を重視するのか」

 

皆様こんにちは。WIPO日本事務所長の澤井です。

はじめに、新型コロナウイルス感染症に罹患された皆様にお見舞いを申し上げます。そして何より、多くの医療従事者の皆様に感謝を申し上げます。

パンデミックとも言われるこの厳しい状況から昨年2020年の世界の経済成長率は、‐3.3%と大きく落ち込みました。こうした状況にありながらも、世界は積極的な知財戦略を進め、グローバルな権利確保の手段である特許協力条約(PCT)を通じた国際特許出願は、この年、世界全体で対前年比4%増の過去最高記録を生み出しました。不況に強い知財との言葉は、世界においても今なお通じるものです。ただ、日本でのPCTの利用は、‐4.1%と低調でした。

なぜ世界は知財制度を重視するのでしょうか。発明に対する思いの強さ、より言えば、失敗を伴う発明により報いたいとの思いが強いのではないでしょうか。アメリカの名言集の表紙には、スティーブ・ジョブズの「Let’s Go Invent Tomorrow.」との言葉があります。「昨日のことにくよくよするよりも、明日を発明しよう。」との人生訓です。Appleだけではありません。この2月に、Amazonの会長退任を発表したジェフ・ベゾスの社員向けの600ワード程度の短い書簡の中で、8回も「発明」との言葉が使われています。同社の成功が発明にあると前段に強調し、最後に「発明を続けよう。『Day1』のままで。」と結んでいます。イギリスのダイソン製品のパッケージにも、「発明品こそがダイソンを差別化するものである。我々はその技術の特許を取得している。」とジェームズ・ダイソン本人の言葉を大きく印字しています。

80年代のプロパテント政策以降、半世紀近くの間に知財制度により、投資は回収できるものとして欧米をはじめ世界の多くの企業が失敗を恐れずチャレンジし、多くの起業を促し、新たな価値が社会に浸透しています。米国のバイデン大統領は4月、本年のWorld IP Dayに向け、「発明者の国、米国を誇りに思う。」として、前のトランプ大統領に続き、知財宣言を発しました。政権が変わろうとも、発明に対する思いに変わりはありません。中国においても、昨年の11月、習国家主席は知財保護に関する勉強会を自ら主催し、この中で「知財保護とは、イノベーションを保護することに他ならない。」と強調しています。

 

「知的財産権が有力な仲介役になる」

 

こうした状況は、米欧中に限るものではありません。近年、企業価値全体における無形資産の比率が高まり、サプライチェーンはグローバル化し、オープンイノベーションは深化しています。とりわけ、世界の企業の経営層は近年、自社の成長を促すための最も重要な戦略として、オープンイノベーションを挙げています。

さらに、誰一人取り残さないという基本理念を持つSDGsは、その実現のために世界中が先進国、途上国を問わず手を携えることになるでしょう。このように、あらゆる局面で連携が問われ、その上で知的財産権が有力な仲介役となるのです。なるほど、コロナ禍にあっても国際的な知財権の確保に向けた国際特許出願が増えるわけです。

当然のことながら、知財権は単に連携を促すだけの仲介役にとどまるものではありません。外国市場での優位性の確保や人口減少局面を迎える日本をはじめ、先進国で求められる「良いものを高く売る」ためにも、その排他的独占権である知的財産権が重要であることは、先ほどお伝えしたダイソン製品の言葉からも挙げられるかと存じます。

 

「知財やイノベーションの伝道師を目指す」

 

私たちWIPO日本事務所は、イノベーションを支えるための知財制度の意義や役割を広くお伝えしたいとの思いを胸に、知財やイノベーションの伝道師を目指しています。発明者や科学者、エンジニア、創作者の皆様がしっかりと尊重されるよう積極的に機会をとらえ、企業、経営層から将来を担う中小企業、起業家、そして学生生徒の皆様に対し、知財の重要性を発信しています。

本イベントには、多くの中小、スタートアップ、そして知財に携わる方が全国よりご参加と伺っています。このイベントによって、日本の知財ネットワーキング、知財活用の活性化、イノベーション創出、そして明日が発明されることを切に願っています。最後になりますが、本イベントのご盛会を祈念いたしまして、私からの挨拶とさせていただきます。

 

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