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【知財イベント】完全オンライン型展示会「すごい知財サービスEXPO2021」セミナーレポートVol.9(#1) スタートアップ企業に必要な知財人材

イベント

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

 

Vol.9(#2)はこちら↓

(#2)目次;
1.スタートアップの知財活動の支援の実態の課題は何か?
2.スタートアップにはまる知財人材の人物像
3.「スタートアップだから」という特別感はいらない

【知財イベント】完全オンライン型展示会「すごい知財サービスEXPO2021」セミナーレポートVol.9(#2) スタートアップ企業に必要な知財人材

 

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≪スピーカー紹介≫

木元 大介さん
日本弁理士会 弁理士
ピクシーダスト株式会社

湯浅 竜さん
日本弁理士会 弁理士
IPTech特許業務法人 副所長

 

スタートアップの知財活動に必要なものはなにか?

 

湯浅さん
木元さんは、これまでに大手企業の知財部や特許事務所でマネージャーなどをご経験され、現在はスタートアップ企業の知財部でご活躍されております。幅広いキャリアをお持ちですので、是非とも本日は表面的ではなく少し踏み込んで、現場の目線でお伺いできればと思います。

早速、最初のテーマですが、スタートアップの知財活動に必要なものは何かということで、少し広いテーマになっているとは思うのですが、木元さんが現場で「これが必要だ」と感じていることはありますでしょうか?

 

木元さん
一言でいうと「人」ですね。

私は弁理士委員会の関東会でベンチャースタートアップ支援グループに所属しているのですが、そこでもスタートアップが知財活動を行うにあたって何をしたらいいのか?という問いは、毎年のように論点にあがります。

ただ支援する側も、支援される側も、そんなに深く考える話ではないというのが私の考えです。

例えば、今や大企業と呼ばれる会社も昔はみなスタートアップという時期を経験しています。スタートアップの頃から成長していく中で積み上げてきたものが、その業界での絶対解となっているわけです。

つまりは、大企業がすでにルーティン化して行っているすべてのことが、スタートアップにも必要だとシンプルに定義づけることができるでしょう。スタートアップだからやらなければいけないこと、というのはないのです。大企業がやってきたことを同じようにたどっていくことこそが必要といえます。

しかしながら、実行できないというケースも多くあります。その場合の最大の原因は「人」です。資金面よりも人の問題のほうが深刻です。

 

湯浅さん
もし差支えなければ、木元さんが関わっている会社の規模感を教えていただいたもよろしいですか?

 

木元さん
現状は70弱くらいの従業員数の会社を見ています。

 

湯浅さん
つまり100名はいないということですね。

日々の業務の中では、他社との取引が発生し、契約をきちんと確認する必要もあるでしょう。それに加えて競合企業や知財活動も意識しなければいけません。

その中で「お金」よりも「人」の問題が大きいというのはどういう意味なのでしょうか?

 

木元さん
スタートアップは、まず資金調達をするところから始まります。その後、成長戦略を描き、社員とコンセンサスを取って進めていくのが定石です。最初に「絵」を描くところから始まるわけです。

しかし「絵」しか描いていない段階では、社内に人手を十分に確保できていません。それにも関わらず、人がいること前提で事業を進めていく計画を立てていることに問題があるのです。今社内にいる人数が仮に5人だとすると、何億もの利益を得ることはかなり難しいです。

このようにスタートアップ企業の多くは、人がいる前提で未来を描いています。人とお金が万全に整うかどうかが不確実なまま事業を進めてしまうため、後々うまくいかなくなるケースが多いということです。

 

湯浅さん
では、知財活動に必要なものは?という問いに対しては、現状の資金力や人材について時間軸的なズレがあったとしても、将来的に組織がきちんと機能する未来図に向かって、やるべき課題を一つずつクリアしていくことが重要ということでしょうか?

スタートアップ特有の知財戦略や虎の巻的なロジックがあると考える前に、やるべきことをやるという大前提を大切にするべきなのですね。

 

木元さん
その通りです。スタートアップと知財は非常に大事な観点です。

しかし、スタートアップだから何か特別なことがあるわけではありません。むしろスタートアップは大企業、つまり先人と同じものを欲しているはずなのに、マンパワー的に手が届かないケースが多いのです。そのため、取捨選択していきながら進めていくことが必要だと思います。

 

スタートアップにも知財戦略が必要か?

 

湯浅さん
対談を聞いている方の中には、スタートアップ企業と大企業とでは軸が違く、求められていることも大きく異なるという方もいらっしゃると思います。

他にも動き方や新しい戦略アプローチを考えなければいけないという方も多いはずです。

次に「スタートアップには知財戦略が必要か?」というテーマでお話をお伺いします。

そもそも知財戦略は必要なのか?という話に加えて、現場で働く中で感じたことを教えてください。

 

木元さん
まず「知財」や「戦略」という言葉の意味するところから整理していきましょう。知財の話をしよう、というと多くは特許に関する話題になることが多いです。

 

湯浅さん
確かに「知財戦略を考えよう!」というとき、大半は特許戦略を指しています。ブランド戦略や意匠戦略などはあまり含まれていない印象です。

そもそも「知財」という言葉は、広い意味を持つ言葉のはずですが、ほとんどが特許を意味することが多いような気がします。割合でいうと9割くらいでしょうか。

もちろん特許以外の意味合いを忘れているということではないですが、実態として特許戦略に収支しているといえます。さらにその何割かは知財戦略=権利化戦略で終わってしまっていると感じます。

木元さんが常に意識されているのは「知財戦略はトータルで考えるべき」ということですよね。権利化だけでなく、事業にどうコミットさせるかも重要だとおっしゃられています。これは個人的にも含蓄があるなと感じています。

 

木元さん
発明と特許が違うように、ブランドと商標も厳密には異なります戦略という言葉も人によって定義は違うと思っています。

その辺はしっかり定義づけてから離さないといけないということで、これが正解ということではありませんが、先ほど湯浅さんがおっしゃられた通りに私は考えております。

 

湯浅さん
木元さんは結構言葉の定義をはっきりしてから、話を進める印象です。

 

木元さん
それは、私自身がスタートアップに近い場所にいるからかもしれません。スタートアップのほうが迷うのです。

例えば「知財」と言いながら特許の話しかしていなければ、大企業では人が多いこともあり「それは違う」と指摘を受けることができます。しかし、スタートアップの場合は、他に専門知識を持った人材がいるとも限らないため、認識を正さないまま進んでしまう可能性があるのです。

このような認識の相違はスタートアップの中だけではなく、スタートアップと事務所との間でも起こります。

スタートアップの方々は専門家の話した通りに言葉を受け取りがちです。組織にいる人材が少なく、言葉を再定義する機会もありません。そのため専門家は、スタートアップのような少数派に対してこそ言葉のニュアンスに注意する必要があります。

特に「戦略」は人によって指す内容が異なる言葉の代表格です。私の場合は「戦略とはなんですか?」と聞かれた際に、「リソース配分とシナリオ」と定義づけるようにしています。

この二つを提示することで「戦略って何?」ということを考えずに済むのです。

こうして一年近く取り組んでいくと、結局知財戦略を滞らせているのは企業戦略だなということが分かりました。「ブランド戦略に基づく商標戦略」、「テクノロジー戦略に基づく特許戦略」などが明らかになる中で、土台となる会社としての戦略がどうあるべきか、と思考を発展させていくことができます。このように階層化していくことで、コミュニケーションによるすれ違いを減らしていくことが可能です。その中のリソース、つまり「人」が本対談における主題と位置づけられます。キャッシュとHR(人的リソース)の投下量のタイミングや配分が知財活動には重要なのです。

 

Vol.9(#2)へ続く↓

(#2)目次;
1.スタートアップの知財活動の支援の実態の課題は何か?
2.スタートアップにはまる知財人材の人物像
3.「スタートアップだから」という特別感はいらない

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