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【知財イベント】 『JPO×アフリカスタートアップイベントレポート~Vol.1 アフリカのスタートアップ支援機関からの施策紹介』

特許庁

 近年、特許庁は、独立行政法人国際協力機構(JICA: Japan International Cooperation Agency)や日本貿易振興機構(ジェトロ)、世界知的所有権機関(WIPO:World Intellectual Property Organization)と協力し、アジアや新興国を中心とした開発途上国に対する、知的財産権の保護強化のため人材育成や技術協力等を積極的に行っています。

 今回は、その一環として、アフリカの政府機関及びスタートアップを招き、2月18日(火曜日)から20日(木曜日)に、「アフリカスタートアップ知財支援セミナー・個別商談会」をWIPO・ジェトロと共に開催しました。

 18日には、アフリカのスタートアップ支援機関による施策紹介として、アフリカ広域知的財産機関(ARIPO)、アフリカ知的財産機関(OAPI)の職員、コートジボワール、エジプト、エチオピア、ケニア、ナイジェリア、チュニジアのスタートアップ支援機関職員よりプレゼンテーションが行われました。
各プレゼンテーションの一部をお届けいたします。

(1)アフリカ広域知的財産機関(ARIPO)によるスタートアップ支援
Mr. John Marius Kagwa
Examiner Patents, African Regional Intellectual Property Organization (ARIPO)

アフリカ広域知的財産機関(ARIPO:African Regional Intellectual Property Organization)は、1976年12月9日にアフリカ英語圏工業所有権機構(ESARIPO:Industrial Property Organization for English-speaking Africa)として設立された、知的財産における加盟国間の協力を促進する政府間組織です。本部は、ジンバブエのハラレにあり、現在19の加盟国がいます。ARIPOは、2018年より誰でもアクセスが可能である『ARIPO統一IPデータベース』の運営を開始し、登録された知的所有権に関する情報を検索できるようにしています。また、加盟国と協力をして、中小企業およびスタートアップに対して、IPの意識向上セミナーの開催や、IPの管理と教育のプログラムにおけるトレーニングやワークショップを通じて知的財産の保護と活用のためのキャパシティ・ビルディングなどを行っています。」

(2)アフリカ知的財産機関(OAPI)によるスタートアップ支援
Mrs. Magui Angèle Koubitobo Batisseck Nnoko
Project Coordinator and Advisor, Organisation Africaine de la Propriété Intellectuelle (OAPI)

アフリカ知的財産機関(OAPI:Organisation Africaine de la Propriété Intellectuelle)は、フランス語圏を中心としたアフリカ諸国からなる知的財産権に関する国際機関で、バンギ協定によって導入された知的財産の保護のための統一した制度を実施するために設けられました。業務内容は、主に加盟国における知的財産権の出願受付や登録などです。また、加盟国のためのIP戦略に関する支援プロジェクトなども行っています。OAPIでの特許・商標・意匠の出願件数は増加の傾向にあります。私たちは、加盟国の発展のため、近代的で効率的な知的財産の機関を目指してきました。スタートアップ支援といたしましては、特許の登録に係る費用の削減や助成金などがあります。また、毎年すべての加盟国で、セミナーや中小企業とのディスカッションも開催しています。」

(3)コートジボワールでのスタートアップ支援
Mr. Moussa Comara
Head, Department of Business Support and Consulting, Chamber of Commerce and Industry of Côte d’Ivoire (CCI-Côte d’Ivoire)

コートジボワール商工会議所(CCI)は、政府によって設立されました。ワークショップの開催など中小企業の発展のために様々な情報を発信しています。また、アフリカ開発銀行(AfDB)と協力して、中小企業が財務格付けおよびトレーニングを利用するための財政へのアクセス促進を目的としたプログラムも実施。スタートアップが新しいパートナーと出会えるように、スタートアップと企業がプレゼンテーションなどを行うイベントも計画しています。」

(4)エジプトでのスタートアップ支援
Dr. Menna-t-allah Morsy Hussein Elkotamy
Senior Patent Examiner, Egyptian Patent Office, Academy of Scientific Research and Technology

エジプト特許庁(EGPO:Egyptian Patent Office)は、1951年に設立され、1971年から科学研究技術アカデミー(ASRT:Academy of Scientific Research and Technology)に所属しています。エジプト特許庁は、アラビア語圏の国で初めて国際調査や審査の機関として指定されて、2013年4月1日から、国際調査機関および国際予備審査機関として機能し始めました。現在、エジプト特許庁では、特許の発行だけでなく、IPの情報と専門知識を提供し、創造性をサポートして、エジプトの知的財産法の下で提供される高品質で効率的なサービスへのコミットメントを通じてイノベーションを促進することにより、エジプト全体の経済成長に貢献しています。また、スタートアップは、明細書の正しい書き方をわかっていないことも多いので、相談に乗ったり、書き方を教えたりもしています。IPの教育プログラムなどにも力を入れています。」

(5)エチオピアでのスタートアップ支援
Mr. Tedla Mamo Damte
Coordinator, Regional IP branch offices, Ethiopian Intellectual Property Office

エチオピア知的財産庁は、政府機関ということで2003年に設立されました。当庁は、知財関係の助言をしています。また、国レベルにおける知的所有権の登録を行っています。権利の所有者やその他のステークホルダーを対象に、知財に関する意識を高めることにも力を入れています。スタートアップと投資家を結びつけるような支援も行っています。」

(6)ケニアでのスタートアップ支援
Mr. John Maina Muhoro
Chairman, Kenya National federation of Jua Kali Association

「ケニアの政府は、産業・貿易・共同組合省と協力して、中小企業が政府からの様々なサービスにアクセスできるようにしています。そして、色々な組織が、スタートアップのサポートのためにインキュベーションのサービスを提供しています。大学もサイエンスパークを設立しており、これにより研究・開発を支援します。2019年4月に全ケニア・ジュアカリ協同組合連盟は、ケニア産業財産権機関と覚書を締結しました。この目的は、職人がケニアで知的財産権を取得できるようにするための技術的な支援です。これにより、ケニアにおいての技術の発展を促して、知的財産の取得も推進します。また、知財に関する情報提供をして、持続的発展のための製品の大量生産と信憑化が促進されるようにします。」

(7)ナイジェリアでのスタートアップ支援
Mr. Onyebinanma Chimezie Bright
Senior Assistant Registrar, the Patents & Designs Registry

「近年、ナイジェリア政府は、さまざまなプログラムを通してスタートアップや中小企業をサポートしています。2019年には、『Startup Nigeria』というプログラムが、ナイジェリアの副大統領によって開始されました。このプログラムは、スタートアップが持っているアイデアを、商品やサービスとして提供できるように、資金調達やメンターシップ、トレーニングの面でサポートをします。また、18歳~35歳までの素晴らしいアイデアを持った若者をサポートする『青少年起業支援プログラム』もございます。」

(8)チュニジアでのスタートアップ支援
Mr. El Mekki Wissem
Director of Digital Economy, Ministry of Communication Technologies and Digital Economy

「チュニジアのスタートアップ戦略は、3つの柱(STARTUP ACT、STARTUP CAPITAL 、STARTUP ECOSYSTEM)と、4つのenabler(TALENT POOL、CLUSTERS、ACCESS TO MARKETS、INCLUSION)に基づいています。3つの柱のうち、STARTUP ACTは、起業家、投資家、スタートアップを対象に、それぞれサポートをしています。STARTUP CAPITALは、VC fund of funds、GP Incubator、Guarantee programの3つで構成されており、スタートアップのためにVCの資金調達を推進しています。STARTUP ECOSYSTEMでは、資金調達などの取り組みで、すべてのエコシステムの利害関係者をサポートしています。」

あとがき
 近年、アフリカでは、携帯電話の普及もあり、モバイル送金サービスなどのビジネスを行うスタートアップが次々と誕生しています。
今回ご紹介したアフリカ政府機関のスタートアップ支援施策は、ほんの一部にすぎません。様々な問題を抱えるスタートアップに対して、アフリカ政府機関は多方面からサポートをしている印象でした。

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