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【知財イベント】 『JPO×アフリカスタートアップイベントレポート~Vol.3 スタートアップの知財戦略におけるベストプラクティスとは #2』

イベント

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

2月18日(火曜日)から20日(木曜日)、特許庁は、アフリカの政府機関及びスタートアップを招き、世界知的所有権機関(WIPO)と日本貿易振興機構(ジェトロ)と共に「アフリカスタートアップ知財支援セミナー・個別商談会」を開催しました。

19日に行われたセッションではiPLAB Startups所属の弁理士である河野上氏が登壇し、アフリカの政府機関を対象とし、日本のスタートアップの知財活用の事例と日常的に抱える課題、ベストプラクティスを紹介しました。

―#1はこちらから

【知財イベント】 『JPO×アフリカスタートアップイベントレポート~Vol.3 スタートアップの知財戦略におけるベストプラクティスとは#1』

#2では、日本のスタートアップの知財活用における課題とベストプラクティスをお届けします。

そもそも「スタートアップ」とは?

河野上氏(以下、河野上):そもそもスタートアップとはなんでしょうか?私たちiPLABの定義は『社会課題を解決するために新しい産業を創り上げる企業体』というものです。日本の多くのスタートアップは、創業時、シードステージ、アーリーステージ、ミドルステージ、レイターステージというように成長していき10年程度でIPO(※株式公開)を行う会社が多いです。

そのようなスタートアップ企業が日本でどれくらいあるのか統計的に見てみると、実は99%以上が中小企業なのです。ですが、その99%を占める中小企業の出願件数は15%程度しかありません。日本で知財を活用しているのは0.3%の大企業ということになります。

なぜスタートアップには知財が必要なのか?

河野上:スタートアップは、ほとんどの企業が赤字です。プロダクトも未完成で、時間も無く、土日も夜中も働いています。そして、人が辞めることも多いです。しかし、IPは会社の資産として残ります。

大企業には知財部があり、会社の事業戦略に即して知財戦略を立てることができます。一方で、スタートアップにはその知財部を作る余裕がありません。

更には、このような落とし穴も存在します。

・不十分な商標調査

・軽減制度や助成金を使えていない

・CTOがスピンアウトした

・協業先に情報を持って行かれた

・権利範囲がとても狭い(ということに気づいていない)

・そもそも 知財戦略の重要性を理解していない

など。

スタートアップにこそ事業戦略を理解し、経営陣と何度もコミュニケーションを取り、その会社に最適な知財活動を行うパートナーが必要なのです。

スタートアップの知財活用法

河野上:知財の活用方法としては、主に次の4つのものが挙げられます。

  1. 企業価値を上げる
    知財の有無は株価、資金調達にも大きな影響を与えます。
  2. 事業貢献
    参入障壁を築いたり、ビジネスの選択肢を広めたり、事業提携、そしてプロダクトへの注目度も上げると思います。
  3. 抑止力
    競合から訴訟を起こされたとしても、カウンターとなる特許権を持っていればそれに対抗することができます。
  4. マネタイズ
    事業と共に特許を売却したり、事業をさせるためにライセンスします。

先ほどご紹介したエアロネクスト(#1参照)は工場を持っていません。そのかわり、特許出願と特許権の数は合わせて200件を超えています。スペックライセンスという方法を採用しており、機体の仕様と特許の両方をライセンスアウトして製造業に機体を作ってもらうビジネスを構築しています。

ひとつの特許では、意味がない

河野上:最も大事なことは『1つの特許を持っていても意味がない』ということです。1件の特許では正面しか守れていないかもしれません。このため私たちは、複数の特許権を組み合わせることにより競争優位性を高める方法を提案しています。

この複数の特許の組み合わせを、我々はポートフォリオと呼んでいます。1件の特許では、存続期間が満了したり、無効になってしまったり、回避されてしまう可能性があります。そこで、コア技術の特許を取得し、周辺技術、改良技術、代替技術、先取技術、待ち伏せ技術にまでポートフォリオを拡充させることを検討します。

それぞれの技術について、下位概念や、具体的な実施例、変形例などの要素を増やしていくことで会社の資産である知財を全方位から守ることができます。

特許だけでなく、商標も大切です。会社名、会社ロゴ、メインサービス名、メインサービスロゴ、アプリケーションの場合にはアイコン、新しいビジネスジャンル名称などは、事前に商標登録を行いましょう。

スタートアップの知財戦略

河野上:続いて、いくつかの戦術を紹介します。スタートアップの方からは「特許は何時出せばいいのですか?」という質問を頂くことがあります。私たちは、課題解決の手段が思いついたら出願の検討や準備を進めるべき、と答えています。正式なプロダクトリリースまでには、様々なテストを行うことが多く、それが済んでから出願を行うのでは遅すぎるからです。

優先権を主張することにより、プロダクトをもれなく保護することも可能となります。基礎的なコンセプトを出願しておき、12カ月以内に最適な組成や変形例等を盛り込むことができるようになります。

特にスタートアップ特有の問題として、お金の問題があります。出願~特許権取得まで約100万円程度かかることも少なくありません。知財活動を行うのは早ければ早いほどよい、ということはわかるのですが、早ければ早いほどお金もありません。

ここで活用するのがストックオプションや株式等です。私たちは、報酬の一部を少額のエクイティで頂くことがあります。これにより、先ほどのポートフォリオを作ることができます。会社の価値が上がれば私たちも嬉しいので、社員全員の専門性を投入することができます。

早期審査やスーパー早期審査も活用するべし

河野上:特許庁の施策による早期審査やスーパー早期審査も多く活用されています。私たちの支援するスタートアップでは9割の方が利用しています。例えば、コア発明Aから優先権を主張して、改良発明bcdを出願したとします。単一性を満たさない場合には、bcdの3つの分割出願を行います。出願件数は全部で4件になります。

このとき、最初の時点で4件分の費用を支払わなくてもいいというのが特徴です。スタートアップは資金繰りが命なので、支払いは後であるほどありがたいという事情があります。

特許庁のスーパー早期審査は平均3週間程度で審査結果が出されます。出願から9日(6営業日)で特許査定が出たという事例もあります。出願が公開される前に、審査結果を知ることができると、事業の選択肢も増えます。

スタートアップにこそCIPOを

河野上:最後に、私たちは、スタートアップのCxOにCIPO(チーフIPオフィサー)を置くことを推奨しています。最近では、チーフマーケティングオフィサー、チーフクリエイティブオフィサー、チーフデザインオフィサーなども存在しています。

CIPOは、技術も、会社資産も、マーケティングブランディングも、クリエイティブも、デザインも含めて会社の強みをのばしていくべきだと考えています。

現在は、知財部員か、弁理士かの2択しかないところに、CIPOという新しいキャリアパスがあってもよいと思います。その前例をどんどん作っていこうというのが私たちのチャレンジです。

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