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【知財イベント】『IPAS2020 Demo Day 成果発表会 レポート〜Vol.1 開会の挨拶とIPAS2020概要説明』

イベント

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特許庁主導の、スタートアップの成長を事業と知財の両面で加速させる知財アクセラレーションプログラム「IPAS2020」の成果発表会「Demo Day」が3月にオンライン開催され、2020年度支援先企業がIPAS2020を通して得られた成果を発表しました。

 

IPAS2020では、応募総数113社の中からビジネスの将来性や知財支援の必要性等の観点で選ばれた15社に対し、特許庁より選出された知財専門家らが約5ヶ月間のメンタリングを行いました。

 

本記事では、今回の成果発表会の様子と各社プレゼンテーションの内容をお届けします。

 

Vol.2 15社のピッチはこちら↓

【知財イベント】『I PAS2020 Demo Day 成果発表会 レポート〜Vol.2 支援先スタートアップ15社による成果発表ピッチ(1)』

 

Vol.1 開会の挨拶とIPAS2020概要説明

 

1.開会の挨拶

『尖った技術』はスタートアップの財産

特許庁 総務部 企画調査課長 小松 竜一 氏

本日はIPAS2020 Demo Dayの成果発表会イベントにご参加いただきありがとうございます。IPAS事業を特許庁が始めて3年になりますが、この事業を開始するにあたりスタートアップの実態調査を行いました。スタートアップはお金も生産設備も販路もありません。あるとしたら、志の高い経営者と、新しく尖った技術です。ですが、知財をケアしないばかりにそれらを自分たちの技術として事業に活かせないという事例が出てきました。

自分たちの技術であるにもかかわらず、知らないうちに協業先に自由に勝手に使われているーー特許庁がスタートアップ支援を始めた動機はまさにここにありました。スタートアップの唯一の財産である「尖った技術」。それを知財で守り、ビジネス展開するには知財専門家をスタートアップへ送り込む必要があります。またスタートアップ側にも、知財の重要性に気づいてもらう必要があります。特許庁は、今後もIPASの取り組みをさらに発展させていきます。是非、本イベントを通じて私どもの今後の活動にも注目していただきたいです。

 

2.IPAS2020 概要説明

ビジネスを軸に知財で課題を解決していく

特許庁 総務部 企画調査課 課長補佐 (ベンチャー支援班長) 鎌田 哲生 氏

まず「スタートアップにとっての知的財産」と聞いた時、何を想像しますでしょうか?素晴らしい経営者や尖った技術、アイディアを持ってはいるものの、設備や資金、マーケットを持っていないのがスタートアップの現状です。そのため、「尖った技術」「アイディア」という資産を活かして経営を進めていくことが最も重要になってきます。

知財とは何かを考えた際に、主に3つの機能があります。ひとつは、権利を取ることにより独占権を得ることができます。2つ目は、この権利を得たことで他企業に権利をアピールすることができるようになります。そして3つ目は、権利を得たことで他者からの信用を得ることができます。このことから、会社経営において知財は必須のツールであると考えています。しかし、スタートアップコミュニティにおいては「知財意識が低い」というのが我々特許庁の調査結果として出ています。投資家やVCなどの出資をされる方は「どれだけ権利を抑えられているか?」を重要視しています。この際に知財戦略が十分でないと判断された場合、M&AやIPOへの機会損失の可能性があります。

実際にスタートアップへの調査結果の例を挙げさせていただくと「企業価値として知財を意識できていない」、「事業モデルに合わせた知財構築ができていない」、「知財構築ができていないため中長期的な事業計画まで繋がらない」、「スタートアップに精通した知財専門家に出会うことができない」、「知財人材が不足している」などがありました。

これに対し、我々は特許庁として事業戦略に連動した知財戦略をスタートアップに進めていただきたいという思いから、IPASプログラムを開始しました。具体的な活動内容を説明すると、スタートアップ経験のある知財専門家と、スタートアップ支援経験のあるコンサルの方、VCの方などビジネス専門家の2名からなるメンタリングチームを作り、抱えている課題や困りごとを解決していくものです。「ビジネスを軸に知財で課題を解決していく」ことが本プログラムの肝になります。

具体的なメンタリングの事例を挙げさせていただきます。例えば、自社が持つ技術は様々な分野に応用が可能なのに、どう的を絞ればいいかが解らないというお悩みに対し、自社の強みと弱みを具体的にメンターの先生方に整理していただき、技術の強みと想定顧客の強みをマッチングしました。また知財面では、自分たちは特許を持っているが今の知財戦略に合っているのかどうかが解らないというお悩みに対し、既存特許の領域を確認したうえで足りない部分を追加で権利化するようアドバイスするなどが挙げられます。また、大手企業と共同開発を進めたいけれど、協業先に自社の特許を使われてしまった時にどう対処すれば良いかの助言もしています。これに対しては、まず自社の特許を権利化し、相手に開示するもの、ノウハウとして絶対に開示しないものの整理をします。また、契約書に開示する領域を適切に記載した方が良いという助言をいたしました。

これまでの2年間の活動で、スタートアップがつまずく14の課題が見えてきました。IPASではこれらを成果事例集として集めております。またこれらはIP BASEにて公開していますので、ぜひご覧ください。過去2年間の成果としまして、25社の企業を支援させていただきました。これより、今年度支援させていただいた企業様の各社ピッチを行いますので、どのような成果を挙げたのか、また実際にどのようにメンタリングや支援を行ったのかを聞いていただけますと幸いです。

 

↓Vol.2 15社のピッチはこちら

【知財イベント】『I PAS2020 Demo Day 成果発表会 レポート〜Vol.2 支援先スタートアップ15社による成果発表ピッチ(1)』

 



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