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【知財イベント】WIPO日本事務所主催「世界知的所有権の日2021記念オンラインイベント」レポート Vol.6(1)~パネルディスカッション第二部『知財戦略とイノベーション、知財を武器に市場を切り拓く』~

イベント

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

 

Vol.6では、パネルディスカッション第二部『知財戦略とイノベーション、知財を武器に市場を切り拓く』の様子をお届けいたします。

 

Vol.6(2)はこちらから↓

【知財イベント】WIPO日本事務所主催「世界知的所有権の日2021記念オンラインイベント」レポート Vol.6(2)~パネルディスカッション第二部『知財戦略とイノベーション、知財を武器に市場を切り拓く』~

 

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【知財イベント】WIPO日本事務所主催「世界知的所有権の日2021記念オンラインイベント」レポート Vol.5~知的財産を学び、その普及に熱心に取り組む高校生へのインタビュー(東京都立千早高等学校)~

 

【スピーカー】※五十音順

・ガニング 麗奈さん
 株式会社Lily MedTech 知的財産部部長

・久慈 直登さん
 一般社団法人 日本知的財産協会 専務理事 他

・高倉 成男さん
 明治大学 専門職大学院 法務研究科長

・長澤 健一さん
 キヤノン株式会社 専務執行役員 知的財産法務本部長

・西口 尚宏さん
 一般社団法人 Japan Innovation Network 代表理事 他

 

【モデレーター】

澤井 智毅さん
 WIPO日本事務所長

 

イノベーションとは、インベンション(発明)とインサイト(洞察)の掛け算による価値創造である

 

澤井さん
西口様は、産業革新機構の立ち上げなどに携わり、現在は国連開発計画(UNDP)のイノベーション担当上級顧問に就任されています。加えて、昨年の秋には京セラのCEOやロイヤル・ダッチ・シェルの会長、また、米国競争力評議会会長を迎えて、イノベーションマネジメントシステムのサミットを開いた方でもあります。まさに我が国のイノベーションを代表される方かと存じます。以前お話しをさせていただいた際に、誠に僭越ではございますが、『インサイトとイノベーションとの関係』、『洞察とイノベーションとの関係』について、意気投合させていただきました。その観点でお話しをいただけますでしょうか。

 

西口さん
イノベーションというと、アメリカで何が起こっているかというのはどうしても見なければなりません。2004年に、イノベートアメリカ(通称:パルミサーノ・レポート)というレポートが出ておりますが、おそらくアメリカの産業政策の基本はここにあると思います。ここでは、イノベーションとはインベンション(発明)とインサイト(洞察)の掛け算による価値創造であると述べております。インベンションはまさに様々な新しい発明なのですが、ただ新しいからと言って価値ではないというところがポイントです。そこにどのようなニーズがあるのか、どのように社会が変わるのか、あるいは、エコシステムの変化や、アーキテクチャの変化など、物事の本質に関わる深い理解、何層にも入り込んだ根っこの部分の洞察(インサイト)がなければ、どれほど発明をしてもイノベーションに繋がらないと、パルミサーノ・レポートでは言い切っていたなという風に思います。

 

日本にとって千載一遇のチャンスが訪れる

 

澤井さん
キヤノンは、2006年の発明協会が出した戦後の日本のイノベーション100選の中でレーザープリンターが選ばれるなど、常に多くのイノベーションを日本に出してまいりました。数多な発明やイノベーションを多く見てきた長澤様におかれましては、将来の見通し(DX)あるいはニューノーマル、さらには今やマルチステージという言葉も聞いておりますけども、そうした時代に向けてどのようにインサイト(洞察)し、将来どのようなイノベーションが起こると見ていますでしょうか。

 

長澤さん
レーザービームプリンターや、恩賜発明賞をいただいたバブルジェットプリンターというのは、当時は普通紙にカラーの絵が描けるということ自体がニーズだったわけです。それに対して、これからのニーズはおそらく細分化されて、かなりのスペシャルニーズというものが増えていくであろうと思っています。そうすると、一つ一つのものが高付加価値化していき、生産数が少なくなるという方向に向かっていくのではないかと思います。1990年ぐらいに日本が世界を席巻した、高品位なモノの製造力が活かされる時代が来るであろうと思っているのです。大量生産しなくてはいけないものに関しては、我々はレイバーコストでは勝てずに中国や韓国に負けてしまいました。ですが、高付加価値のモノの時代が戻ってくることになると、日本にとっては非常に大きなチャンスであろうという風に思っています。

ただ、なかなか一人ですべてのビジネスをやるというのは難しいので、アライアンスが必要になるかなと思いますが、アライアンスをするためには、知財力が大事になってきます。弊社の場合でいうと、センサーやディスプレイ、それから半導体製造装置のようなものもほとんど光学技術で出来ています。今後、新しい材料や新しいデバイス、例えばいわゆるフォトンカウンティングデバイスであるSPADのようなものが出てくると、日本にとって非常に有利な展開になるであろうと思っています。それを使った社会的なニーズをいかに早くつかんで、いかに早く知財権で囲い込んで、外国との勝負に勝っていくか。日本にとっては千載一遇のチャンスぐらいに思っています。

 

自分の生態系エコロジーの中で、全体マネジメントができるような強力な知財を持てばいい

 

澤井さん
先ほど長澤様のお話しの中でアライアンスという言葉もありました。次はオープンイノベーションと知的財産について少しお話しをさせていただければと思います。多くの産業界の事例を知る久慈様のお立場から、キーストーンの具体的なエピソードなどを教えていただけますでしょうか。

 

久慈さん
例えば生態系の中でいうと、海岸にヒトデがいなくなるとそのあたりが全滅してしまうという話があります。キーストーンというのは、ここでいうヒトデのような存在です。生態系は地球規模で考えるか、地域で考えるか、その製品で考えるか、色んな考え方ができますが、企業はどの位置にいるかによるので、自分の生態系エコロジーの中で、全体マネジメントができるような強力な知財、キーストーンを持てばいいと思います。

例えば、パソコンビジネスでいうと、インテルというのが以前ありましたが、パソコンビジネスの全体のマネジメントを取っていましたよね。また自動車で考えてみると、自動運転システムとバッテリーだろうと思います。例えば自動運転システムというとき、それを生態系として考えると、どこのデータをどう扱うかが重要になってくる。バッテリーの場合は、素材や材料を考える。そういうのがキーストーンになって、そこが強ければ強いほど、その想定する生態系の中の全体のマネジメントができるだろうなと思います。

 

Vol.6(2)へ続く↓

【知財イベント】WIPO日本事務所主催「世界知的所有権の日2021記念オンラインイベント」レポート Vol.6(2)~パネルディスカッション第二部『知財戦略とイノベーション、知財を武器に市場を切り拓く』~

 

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