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【知財イベント】 『JPO×アフリカスタートアップイベントレポート~Vol.2 アフリカスタートアップの紹介』

イベント

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 2月18日(火曜日)から20日(木曜日)、特許庁は、アフリカの政府機関及びスタートアップを招き、世界知的所有権機関(WIPO)と日本貿易振興機構(ジェトロ)と共に「アフリカスタートアップ知財支援セミナー・個別商談会」を開催。

―18日に行われた、アフリカのスタートアップ支援機関による施策紹介のプレゼンテーションはこちらから

【知財イベント】 『JPO×アフリカスタートアップイベントレポート~Vol.1 アフリカのスタートアップ支援機関からの施策紹介』

19日には、アフリカのスタートアップ11社によるピッチが行われました。

 ジェトロよると、近年、アフリカのスタートアップによる資金調達額は増加傾向にあるといいます。
また、スタートアップを支えるエコシステムも発展を続けており、南アフリカ共和国やナイジェリアでは50カ所を超えるテックハブが存在しています。
社会課題を解決したいとする起業家精神に加えて、自国外での修学・就労経験を有する優秀な人材を最大限に活用し、現地の社会ニーズに根ざしたサービス展開を行っているのが、アフリカのエコシステムの特徴です。

アフリカスタートアップ11社のピッチ内容

(1)Sanergy(アグリテック/ケニア)
Mr. Michael Lwoyelo, Managing Director

『有機ゴミを飼料・肥料・バイオマス燃料化』

「ケニアでは、スラムやナイロビなどの大都市を中心に、廃棄物の問題が深刻化しています。生計の基盤である農業の生産性の低下も大きな問題です。そこで私たちは、循環経済によって都市の廃棄物処理の課題を解決しています。
具体的には、ナイロビの下水設備や自治体、農業などの各ソースから毎月600トンの廃棄物を収集します。その後、トラックとコンテナシステムによって、安全性の高い大規模処理工場に輸送するのです。すべての廃棄物は農業用肥料や飼料にアップサイクルしています。すでにOPICから550万ドルを資金調達しました。2020年末までに、サブサハラアフリカで最大の有機物リサイクル工場の完成を目指します。」

(2)PAYGO ENERGY(エネルギーテック/ケニア)
Mr. Nick Quintong, CEO

『ガスボンベ装着用のスマート メーター』

「政府主導で進めているガス市場の構築には多大な時間がかかってしまっており、現在、アフリカのガス産業は大きなチャンスを逃しています。私たちのPAYGO ENERGYのプラットフォームは、サプライチェーン全体をデジタル化して、需要と供給を効率的に結び付けることが可能です。BtoBの取引が活発になれば、ガスの売買が困難な場所での売買も容易になります。IPにも力を入れており、現在71か国で特許を出願中です。」

(3)Orbit Health(ヘルステック/エチオピア)
Mr. Pazion Cherinet, CEO

病院向け電子カルテシステム

「アフリカでは病院までの距離が遠く、さらには医者不足、非効率・不十分な医療・医薬品管理等の問題を抱えています。私たちは、革新的かつ手頃な価格でデジタル健康管理ソリューションを提供して、この問題に取り組むスタートアップです。主に、電子カルテや薬物および医薬品の管理システムを提供しており、現在2,000万のカルテと、100万の処方箋を管理しています。現在すでに一部の資金は調達できていますが、今後さらなる発展のため資金調達をしているところです。」

(4)ZayTech IT Solutions Share Company(ロジスティクス/エチオピア)
Dr. Zewdineh Beyene Haile, Board Chairman

『Uber型の配車アプリを提供』

「今回紹介する『Zay ride』は、エチオピアで初となるタクシー配車サービスです。現在の『Zay ride』の登録顧客数は40万人で、登録ドライバーは約5000人に上ります。今後は、『Zay ride』を世界へ広めていく予定です。なお、ZayTech IT Solutions Share Companyは、『Zay ride』だけでなく、決算システム、モバイルサービスの3つの事業を行っています。」

(5)Talamus Health(ヘルステック/ナイジェリア)
Dr. Murisiku Raifu, CEO

『医療従事者と患者をつなげるアプリ』

「アフリカでは、医療費の負担や出生時の死亡率が高いことなどが非常に大きな問題です。原因としては、病院までのアクセスの悪さや患者に関するデータの不足、病気に対する意識の欠如などが考えられます。この問題に対して、私たちは健康管理アプリを提供し、そこから得られるデータを研究・分析するエコシステムを開発してきました。既に南アフリカやナイジェリアでは、数百件の病院や薬局と契約し、また、ガーナでは、大手通信会社とパートナーシップも組んでいます。いずれは、アメリカにも拠点を設けたいと考えているところです。」

(6)Seso Global(不動産テック/ナイジェリア)
Mr. Phillip Jarman, Co-founder & COO

『ブロックチェーンを活用した不動産仲介』

「Seso Globalは、デジタル不動産仲介業で、不動産および不動産関連のサービスを販売しています。私たちのサービスを使えば、不動産を購入するにあたり法律事務所や銀行など、多数のステークホルダーにアクセスすることが可能になります。と言うのも、新興市場で不動産を購入するには、物件の安全性をはじめとし、様々なリスクが伴います。私たちは、ブロックチェーンデータベースに保持されている信頼のあるデータを用いて、不動産物件の取引をワンストップショップで行っているのです。現在は、15のデベロッパーと協業していて、1000件くらいの不動産を取り扱っています。」

(7)INVESTIV(ロボティクス、アグリテック/コートジボワール)
Mr. Aboubakar Karim, CEO

ドローンを活用した精密農業

「アフリカ経済は、農業に依存しています。さらに、2050年にはアフリカに20億人の住民がいることが予想されており、今後も農業で食を支えていかなければなりません。しかし、政府がすべての農業従事者をサポートすることは大変難しいです。そこで私たちは西アフリカにおいて、ドローンによる精密農業のアドバイザリーサービスを行っています。センサーを利用して、アフリカの状況に合わせてドローンを活用することで、農業の改善に取り組んでいます。アルゴリズムも独自のものを持っていて、データベースを使って穀物のプランニングをすることも可能です。また、大きなドローンで肥料の散布も行っています。現在行っている主なサービスは、ドローンでのマッピング、診断サービス、肥料散布、農業管理です。また、私たちは西アフリカで初めてドローンを使った企業のひとつでもあるため、ドローンのパイロットトレーニングも行っています。」

(8)Kourtim(ロボティクス/モロッコ)
Ms. Kenza Idrissi, Co-founder & CCO

アルゴリズムを活用して物流を効率化

「Kourtimは、商品のトラック輸送分野に特化した物流スタートアップです。トラック輸送は、複雑で細分化された分野で、特に輸送の仲介業者は様々な業務が発生するため、とてもストレスフルな環境で仕事をしています。そこで我々は、すべてをオンライン化して、出荷のプロセスをしっかり管理し、ビッグデータをリアルタイムで処理することで、スピーディーかつコストの最適化を実現しました。価格交渉等はAIを使用しています。貨物輸送のグローバルマーケットは、2兆2000億円です。現在、アフリカとヨーロッパにマーケットがあり、2021~2022年以降はアメリカやアジアにも進出しようと考えています。2021年には海上輸送にも進出して、その後は航空輸送にも進出したいと思っております。」

(9)Epilert(ヘルステック/チュニジア)
Mr. Firas Rhaiem, Co-founder & CEO

てんかん患者のための医療用ブレスレット

「私の妹がてんかんになったことがきっかけで、友人と一緒にEpilertを立ち上げました。私たちは、唯一の国産医療機器である医療用ブレスレット『Epilert』を開発しています。AIが搭載されており、体温、心拍数、ジャイロスコープ、加速度計、EDA(皮膚伝導活動)技術などで、てんかん患者の情報を読み取って発作を予測することが可能です。また、発作が起きた際には即時にアラートで家族や医師に知らせます。医師向けにも、てんかん患者を24時間365日観察することができるアプリやソフトウェアを開発・提供しています。将来は、医療のデータベースを作って神経科学、神経疾患に役立ててもらいたいと思っています。2020年には、4500台の生産を計画しており、すでにその75%はプレオーダーされている状態です。知的財産においては、私たちの特許は世界中に守られています。資金調達は、50万ドルはすでに確保していますが、今後臨床実験を行うために、さらに日本から200万ドルを確保したいです。」

(10)Halan for Technology & Services(ロジスティクス/エジプト)
Mr. Mohamed Abouelnaga, Co-founder & CCO

エジプト初のトゥクトゥク・オートバイのライドヘイリングアプリを提供

「Halanは、トゥクトゥクや 2 輪車の配車アプリをリリースしています。リアルタイムでドライバーを追跡でき、供給の最適化と需要予測も可能です。現在、約15万人の顧客がいて、ドライバーは約8400人です。イーコマースも非常に好調で、Vodafoneなどとも提携をしております。現在の売り上げは、2億円で、エジプトやスーダンなどアフリカ中心に事業展開をしておりますが、将来は世界展開も検討しております。」

(11)Aerobotics(ロジスティクス、アグリテック/南アフリカ)
Ms. Amber freeman, Legal & Compliance Manager

『果樹の生育状況をドローンで管理』

「Aeroboticsは、果樹の栽培を支援するアグリテック企業です。CEOのJamesは、ケープタウンの農家で育ち、農業の様々な問題を目の当たりにして、デジタルソリューションを作り始めました。私たちは、農場の上をドローンで撮影してデータを収集したあと、画像をデジタル化して農場の様子を農家の人たちに知らせています。画像の処理は機械学習を使っていて、解像度が高く、木一本ごとの健康状態が把握できます。現在は18か国で創業していて、今後は世界に展開していきたいと思っています。今はシリーズBの段階で、すでに460万ドルを資金調達しました。将来は、日本のハードウェアのプロバイダやドローンメーカーなどと協業したいです。」

あとがき
 近年アフリカでは、南アフリカやナイジェリア、ケニアを中心にスタートアップが誕生しており、世界からも注目を集めています。すでに日本企業もアフリカのスタートアップに可能性を感じて、連携や出資をする動きが広まってきています。テクノロジーの発達やネットワークの活用などにより、急成長を見せているアフリカスタートアップ。アフリカが抱えている様々な問題をすべて解決出来る日も近いかもしれません。

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