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【知財イベント】WIPO日本事務所主催「世界知的所有権の日2021記念オンラインイベント」レポート Vol.3(6)質疑応答~パネルディスカッション第一部『中小企業と知財、企業に向けた課題』~

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Vol.3(5)はこちら↓

【知財イベント】WIPO日本事務所主催「世界知的所有権の日2021記念オンラインイベント」レポート Vol.3(5)~パネルディスカッション第一部『中小企業と知財、企業に向けた課題』~

 

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パートナーにすべて任せる戦略で負担を減らす

 

―多くの日本の中小企業やスタートアップが、日本や世界でイノベーションを起こせるようになるためには、知財の観点では何が一番の課題でしょうか?

 

久貝さん
基本的に知財制度というのはグローバルなものです。世界で最初に生み出した技術に対して権利を与えるということですので、スタートは日本企業、日本の市場から始まったとしても、常に海外も視野に入れて、必要なことはなにかを考えながら経営をする。その中で、どの国でどういう知財を取ればいいのかということを考えていくということではないかと思います。

ただ、中小企業にとって海外市場というのはハードルが高い面もあると思います。非常にリスクもありますし、色んなコミュニケーションの問題もありますし、そう簡単ではないということもあるので、イーコマースなどを活用していくということは、ひとつのハードルを超えるツールになると思います。

また、知財関係で言いますと、特許は国内では非常に有効ですが、海外に進出して、もしも特許侵害が起きてしまった場合にどうするかという話があります。例えば、日本の会社で鶏卵のプロセスの技術を提供している中小企業があるのですが、そこは海外進出の際は、知財の管理やその他についてもすべて現地のパートナーに任せてしまうという戦略を取っています。

現地で裁判が起きようが何が起きようが、全部そのパートナーにライセンスを与えてしまって、そこで全部やってもらう。この企業のように、パートナーにすべて任せるという戦略をとるというのは、中小企業にとって知財の面で負担の小さい海外展開の方法ではないかと思います。

 

アメリカとの違いは損害賠償の大きさ

 

―日本での知財の価値をアメリカのように上げていくために必要と思われることはなんでしょうか?

 

大山さん
アメリカではビジネスとして特許が売買されたり、訴訟自体がNPEによってビジネス化されているのですが、ひとつ日本の制度とアメリカの制度で大きく違うのは、損害賠償の大きさというところはあるかなと思います。

 

『WIPOグリーン』で海外に進出せずに海外展開が可能に

 

―日本国内だけではなく世界進出の武器として知財を戦略的に活用することを視野に入れた場合の具体的なアドバイスをいただきたいです。

 

有定さん
活用の仕方から考えていくのがいいのではないかなと思います。権利行使だけが活用の仕方ではないと思うので、他の活用方法も考えて、まずどういう風に使っていくかというのを考えていけば、具体的に何をどのように取っていけばいいかというのが見えてくると思います。

 

杉村さん
WIPOが作った『WIPO GREEN※1という、優れた技術を海外の方々にライセンス契約していくというようなプラットフォームがあります。このようなプラットフォームを作ることによって、中小企業やスタートアップ企業が実際に海外に進出しなくても、自社の技術を海外展開し、ライセンス料を得るというような方法もひとつあるのではないかという風に考えております。

※1:WIPO GREENの日本語解説はこちら↓
産官学連携ジャーナル「SDGsに向けた環境政策WIPO GREENと日本の貢献」世界知的所有権機関(WIPO)日本事務所 所長 澤井 智毅

 

途上国は日本の中小企業を参考にしている

 

―途上国における中小企業の問題というのは、日本のようにすでにあるのでしょうか?

 

扇谷さん
途上国の研修生に、日本の中小企業の比率が99%以上だと伝えると、みんなびっくりするんですね。それは、途上国の人たちは、日本は大企業が多いと思っているということだと思います。逆に、彼らは自分たちの国のほぼ100%は中小企業だと思っています。

そういう意味では、日本の中小企業の活動というのは、彼らにとっては全企業の関心事であり、自分たちの国の企業は全部日本の中小企業のことを参考にして勉強していけばいいのではないかという風に思っているみたいです。

知財のことについても、日本の中小企業の知財の成功例を紹介すると非常に喜ばれます。途上国の人たちは、日本の中小企業の取り組みについて非常に興味や関心を持っていると思います。

 

まとめ

【知財イベント】WIPO日本事務所主催「世界知的所有権の日2021記念オンラインイベント」レポート Vol.3(5)~パネルディスカッション第一部『中小企業と知財、企業に向けた課題』~

澤井さん
今回皆様とお話しをさせていただいて、特に感じるのは、やはり知財は中小企業の育成に重要なんだということ、とりわけ産業構造を大きく変えていくうえで、知財・技術・創造が大変重要なんだということを知りました。

キャシー・デイビッドソンというニューヨーク私立大学の先生が、「2011​年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」と言っております。言い換えてみれば、それだけ新しい仕事やスタートアップ、技術や価値が生まれてくるんだなという風に思いました。

是非、本日のご議論やご意見を踏まえて、中小企業の知財の活用を促し、日本もスタートアップが育成されるような国になっていけばいいなと思います。

 

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