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【知財イベント】完全オンライン型展示会「すごい知財サービスEXPO2021」セミナーレポートVol.2 世界中の「水の問題」を解決する~WOTAの目指す世界とスタートアップ知財~

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この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

 

Vol.1 来賓の挨拶(WIPO日本事務所長 澤井 智毅 氏)はこちら↓

【知財イベント】完全オンライン型展示会「すごい知財サービスEXPO2021」レポート Vol.1 来賓の挨拶(WIPO日本事務所長 澤井 智毅 氏)

 

人と水のあらゆる制約をなくす

 

WOTA株式会社は、「人と水の、あらゆる制約をなくす」ことを存在意義に掲げて、「WOTA CORE(水処理自立制御プラットフォーム)」の研究開発を進めてきました。

 

従来の水処理場は次のような3つの課題を抱えています。

 

1つ目は、運用管理体制の課題です。浄水場の人手不足の傾向にある中、属人的な運用管理体制に依存していたためノウハウ継承が難しい状況にあります。

 

2つ目は、無駄の多いランニングコストの問題です。各種消耗品の交換やメンテナンスが最適化されておらず、コストが余分にかかるという問題も抱えています。これは人手不足によるノウハウの喪失も今後大きく影響していきます。

 

そして3つ目は、従来型センサーが高価すぎるということです。作業のデジタル化を検討しようにも、従来型センサーは、例えば光学センサーが1個あたり約100万円するなど、非常に高価なため導入できないでいました。

 

私たちは、水処理作業を、状況把握・判断・共有/改善の3つのフローに分類し、以下のような技術を研究開発してきました。

 

 

まずは水の状態を把握する、水処理IoTセンサーです。小型で、従来の水処理用のセンサよりもかなりの低価格での提供を実現しています。

 

また、水処理自律制御アルゴリズムは、センサーのデータをもとに水処理を最適制御・自律制御するモデルを機械学習で生成しています。

 

更に、水処理データクラウドとして、センサーから収集したデータを蓄積し、常に機械学習モデルをアップデート、最新の状態を作り出します。

 

これまで職人によって培われたノウハウを、システムを通じて溜められるようにしたのです。

 

また、これらの技術を活かして展開している事業は以下の3つです。

 

 

1つ目は、わずか20Lの水で500回以上の手洗いが可能なポータブル手洗いスタンド、「WOSH」。

2つ目は、水道のない場所にも設置できる可搬型水再生処理プラント「WOTA BOX」。

そして3つ目は、水処理プラント運用者のための最適なIoTプラットフォ-ムである「WOTA PLANT」です。

 

赤字構造の上下水道からの脱却

 

水道財政は慢性的な赤字構造となっています。配管の更新や改築に必要な費用は年間10兆円かかるといわれていますが、実際の料金収入は年間6兆円しかありません。残りの4兆円は税金などからなる補助金により補填されています。

 

現状のままですと、今後人口減少が進むと、料金収入を増やすために水道料金を引き上げなければならず、利用者の負担が増えてしまうでしょう。

 

このような状態を改善するために、インフラの構造を大規模集中型から小規模分散型に変えていくことが必要です。つまり、家庭単位で持てるような形で安価に提供できるようにすることを意味します。

 

私たちの事業内容に照らし合わせると、大規模集中型であった既存の水処理プラントから、小規模分散型である自律分散型水処理システムへの導入へと切り替えるということです。

 

アルゴリズムやUIの活用で一般ユーザーでも簡単に利用できる仕組みづくり

 

WOTAの製品は、エンドユーザーにとって使いやすいことを目指しています。

水処理の安全性・即応性を、使いやすく視認性の高いデザインに落とし込んでいることが特徴です。

 

取り組み例として、水処理プラント(計装制御盤)のUI変更についてご紹介します。

従来は経験や専門知識がある人が操作することを前提に作られており、複雑なデザインになっていました。

 

一方、WOTA BOXのUIは経験や専門知識に基づく判断をアルゴリズム化することで直観的に利用できる見た目に変化しています。フィルターのインジケーター(フィルターの消耗度を示すもの)をUIパネルにより表現することで、視覚的に判断できるような設計に変更しました。

 

アルゴリズムやUIの活用で一般ユーザーでも簡単に利用できる仕組みづくりを実現させています。

 

このような知的財産を技術の保護(特許)、ブランド管理(意匠や商標)という形でバランスよく出願し、保護していく中で、他社からの差別化や信頼性の獲得を目指しています。

 

スタートアップ知財の課題と解決案

 

続いて、スタートアップが抱えやすい課題と、事務所や専門家側の取っていただきたい対応についてご紹介します。様々な情勢や財務状況により変化しやすいことがスタートアップのメリットでありデメリットでもあります。

 

まず最初の課題として、事業のピボットが起きやすい、ということがあります。

 

例えば、まだ会社のフェーズが立ち上げ初期でビジョンが定まっていない場合や、PMF(Product Market Fit)が検証されていない場合などに事業をピボットするスタートアップは少なくありません。

 

そうすると、当初の出願によって権利化したい範囲から事業が外れるということが起きてしまいます。また、事業がピボットするかもしれない状況だと、知財を出願するタイミングが分からないということも起こりえます。

 

そこで、特許事務所や知財専門家の方々には、知財観点での事業におけるMVP(Minimum Viable Product)の整理を一緒に行って頂いたり、事業展開を見越した実施例の追加や他社の事例の紹介などを行って頂くなど、経営や事業を踏まえた知財支援、という観点を意識的に持った上で支援を行っていただけると、スタートアップ企業にとって負担軽減につながるかと思います。

 

次に、出願タイミングと情報公開の調整に関してです。

スタートアップにおいては、資金調達などのタイミングで、情報公開が先行してしまうこともよく起きます。こういう場合に、新規性喪失の例外規定などの利用について理解できていないがために、出願後に手遅れになるケースがあります。

 

そこで、特許事務所や知財専門家の方々には、出願する案件が発生した時のみならず、定期的なコミュニケーションを取っていただければと思います。「最近どうですか?」と定期的に連絡を取り合ったりできる関係になれると良いと思います。また、同様の状況の他社事例を踏まえて「御社ではこのようにするのはどうでしょうか?」と提案していただくと、スタートアップ側も心強くいられると思います。

 

最後に、何から手をつけるべきか分からないという問題です。

スタートアップには知財の経験を持った方が組織にいるケースは少なく、担当者を設置することも難しいところがほとんどだと思います。そういう中で、国ごとに異なる複雑な法律が理解できないために、自社の事業展開上の取捨選択ができません。

 

さらに、知財の専門家と知り合う機会も少なく、相談先が分からないというスタートアップもあると思います。

 

場合によっては、特許事務所に相談しようにも、投資家などの外部組織から注意やプレッシャーを受け、アイデアを取られてしまうかもしれないという不信感をもつところもあると思います。

 

そして、最も多いのは、知財の重要性はわかるが金銭面に余裕がない企業が多いというところでしょう。

 

これらのスタートアップの課題に対し、特許事務所や知財専門家の方々には、組織構築の支援、例えば、職務発明規程の制定を手伝ったり、知財出願の判断基準を作るなどをご提案頂くとよいのではないかと思います。

 

スタートアップがやろうとしていることを深掘りし、十分理解いただく。さらに、得意ではない案件については協力先の特許事務所をご紹介いただくなど、適任の専門家をネットワークからご紹介いただけるとスタートアップにとって厚みのある支援が受けられると思います。

 

会社のステージや調達のフェーズなどに応じて変化する、知財部のあるべき姿を提示していただけると大変助かります。



 

Vol.1 来賓の挨拶(WIPO日本事務所長 澤井 智毅 氏)はこちら↓

【知財イベント】完全オンライン型展示会「すごい知財サービスEXPO2021」レポート Vol.1 来賓の挨拶(WIPO日本事務所長 澤井 智毅 氏)

 

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