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「イノベーションを促進したい」特許調査ツールAmplifiedが広げる知財の可能性 #1

インタビュー

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様々な特許調査プラットフォームが生まれている昨今。その中でも、独自開発のAIを搭載した「Amplified」は、誰でも簡単に素早く、また的確な検索ができる特許調査ツールとして知財業界で働く多くの人をサポートをしています。

今回は、株式会社amplified aiのCEO Sam Davisさん、COO 追川康之さんにAmplifiedの誕生秘話や独自AIを開発するまでの道のり、またAmplifiedの活用方法などをお伺いしていきます。

 

―#2はこちら

「イノベーションを促進したい」特許調査ツールAmplifiedが広げる知財の可能性 #2

 

左:CTO Dr.Christopher Graingerさん 右: CEO Sam Davisさん

 

ーAmplifiedを開発するに至った経緯を教えてください。

Samさん

私はもともと日本の特許調査会社に勤めていました。その頃特許調査が、一つ一つの特許に対する先行技術調査から、徐々に多数の特許に対するデータ分析の提供へと価値がシフトしていました。作業をしている中で、特許データは企業にとって凄く価値がありますが、正しいデータを作るために時間がかかりすぎる。知財を戦略的に扱い、ポートフォリオを作成し検討するのに、数百万〜場合によっては数千万円をかけなければいけない。予算が豊富な大企業しか知財戦略の検討をできない状況は非常に勿体無く、可能性を限定していると感じていました。

会社を辞めた後、個人的な興味でディープラーニングの研究を始めたのですが「特許の色々な問題をディープラーニングが解決してくれるのではないか?」と考えるようになりました。前職の同僚で、科学研究の現場に戻っていたヤス(COO追川康之さん)に話をしてみたところ、特許はデータとして活用しにくい、活用するための無駄な作業が多い、など共通の問題意識を持っていました。そして、それらの問題を解決するためのサービスを提供する会社を興そうとなりました。その時、友人で経済学者のクリス(CTO Dr.Christopher Grainger)に話をしたら、彼も同じ思いを持っていて、University College Londonの博士課程で特許データを扱える新しい言語処理や機械学習を学んでおり、すでにツールを作り始めていました。同じ問題意識を感じたメンバーが奇跡的なタイミングで集まり、そこから3人で起業しAmplifiedが生まれました。

 

ー特許調査会社で感じた課題がきっかけだったのですね。

Samさん

はい。課題は大きく二つあります。一つは、価値を見つけるために行う個人レベルの日常的なタスクに無駄が多すぎる点です。もう一つは、特許というデータ資産の利活用が平等に行えない点です。きちんとした調査と分析に基づいて知財ポートフォリオを組むには大きなコストがかかるので、知財を戦略的に使おうと思ってもできることが限られていました。それは社会にとっても、スタートアップや大企業にとっても、大きなロスだと感じました。

特許調査も費用がかかります。本当は企業として戦略的に取るべき知財を考えなければいけないのに、お金をかけたくないところに予算を使い切ってしまう事が多い。そうなると予算の差でアドバンテージにも差がついてしまう。そこをもう少し平等にできるようなツールや仕組みがあれば良いのに、と感じていました。

 

ーAmplifiedのユーザにはどの様なメリットがありますか?

追川さん

Amplifiedは主に弁理士の方と、企業の方に使っていただいているツールです。特に、利用いただいている弁理士の方から頂く声として明確なのは、「やれる事が増えた」という点です。特許調査自体は一般的に、依頼主がやるか、調査会社が請け負う事が多いです。Amplifiedは、弁理士が得意である文章を書くスキルがあれば、活用いただけるツールです。今まで特許調査に割いていた時間や費用をかけることなく、自らのスキルで調査ができるため、お客様とのディスカッションに新たな価値をつけられるようになります。また、明細書を書くうえで参考になる特許が早く見つかれば、仕事を早く進める事ができます。調査を新しくサービスとして出す事ができることに加えて、参考文献を早く見つけられることで、作業効率をあげる事ができます。

 

Samさん

スタートアップが利用した際の事例もご紹介します。一つは、ハードテックを開発している会社で、それまで特許出願をしたことがありませんでした。ハードウェアは知財が凄く重要ですし、資金調達なども計画しており、かなり力の強い特許を取ろうとしていました。出願のサポートとしてAmplifiedを利用いただいていましたが、弁理士から「アメリカで特許を取るなら、アメリカの調査会社に依頼したほうがいい」と言われたそうです。結果として、調査会社に依頼して出てきた報告は意図にそぐわない内容で、Amplifiedでピックアップした情報は出てきませんでした。これは調査会社に正確に技術ポイントを伝えられなかった事が要因であると感じています。調査会社だけに頼るのではなく、Amplifiedの画面を弁理士と見ながら、技術内容や取りたい範囲に齟齬が無いように伝える事が重要だったのでは、と考えています。

また、Amplifiedは文章の類似性と単語の検索とを使って、様々な観点から素早く特許データを調べられます。そのため、審査官が見つけるであろう文献だけでなく、思いもよらない文献への気づきも与えてくれます。差別化すべき文献を検討したうえで権利化を進めることで、広く強い権利を取れたというお話もいただきました。

モニタリングなどの大量の特許を見なければならない場面では、見落としを防ぐこともできます。パッと見のタイトルやサラッと読んだ内容では近いように見えなかったけれど、Amplifiedで正しく判断できたという事例もあります。そもそも、ひとつひとつの文献を人が深く読み込むのは時間がかかり、次の作業へのプレッシャーもあります。そのような、人間が時間をかけられないところをAIはカバーしてくれます。特許の情報は膨大な量になりつつあるのに、無理やり検索式に落とし込もうとしている現状も少し無理があるとも感じています。AIは特許文献を読み込んで処理をする能力が優れているため、最終的に信頼性の高いデータを出すことを可能にしています。

 

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「イノベーションを促進したい」特許調査ツールAmplifiedが広げる知財の可能性 #2

 

 



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