【知財イベント】完全オンライン型展示会「すごい知財サービスEXPO2021」セミナーレポートVol.3 ”SaaS×Fintech系ベンチャー企業、マネーフォワードの知財戦略 ~知財活動の現場から~
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Vol.1 来賓の挨拶(WIPO日本事務所長 澤井 智毅 氏)はこちら↓
Vol.2 世界中の「水の問題」を解決する~WOTAの目指す世界とスタートアップ知財~はこちら↓
【知財イベント】完全オンライン型展示会「すごい知財サービスEXPO2021」セミナーレポートVol.2 世界中の「水の問題」を解決する~WOTAの目指す世界とスタートアップ知財~
「お金を前へ。人生をもっと前へ。」
マネーフォワードは、「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに掲げて、法人・個人・金融機関向けに幅広いサービスを展開しています。
創業以来、複数の企業をM&Aすることにより事業を拡大しており、2021年6月に東証一部へ市場変更も行いました。
また、マネーフォワードグループがサービスを通じて社会にどのような価値を提供したいと考えているか、サービスを提供する裏側にある思いを伝えるため「マネーフォワード統合説明書2021」を作成しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。
知財戦略部のミッション
知財戦略部では、次のことをミッションとして掲げています。
「特許や商標といった知的財産権に限られない、技術、データ、ノウハウ、ブランド等幅広い無形資産を含む知的財産によるミッション・ビジョン・バリューを実現させていく」
知的財産というと、特許や商標など個々の法律で規定された権利を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしマネーフォワードにおいては、それらに限定されない、広い意味での知的財産を指しています。
これを受けて知財戦略部でも、広義の知的財産により事業を成長させていく部門と捉え、日々知財戦略を推進させているのです。
知財戦略部の特徴的な3つの取り組み
知財戦略部におけるミッションを実現させるために、取り組んでいることとして挙げられるのが以下の3つです。
1.代表・CTO・知財で実施する「知財戦略会議」
2.発明者や創設者を表彰する「INVENTION AWARDS」
3.社内外との連携・協力体制
まず知財戦略会議は、代表・CTO・ラボ所長・知財戦略部とで隔月で開催している会議です。継続的に開催されている本会議では、経営陣と知財戦略推進状況について直接ディスカッションします。
横断的に組織を見ている知財戦略部ならではの気づきや課題を認識でき、知財戦略部で取り組みたいことを経営陣に対して提案できるので、やりたいことを実現しやすい環境なのがメリットです。
次にINVENTION AWARDSは、半年に一度開催するマネーフォワードグループの半期総会で行っています。経営陣との知財戦略会議で実現した企画の一つです。
特許や意匠など、新しいことを生み出すのは非常に難しいこと。メンバーの取り組みを会社全体で評価する文化を創設したいという企画者の思いから形になりました。
最後に社内外との連携や協力体制についてです。知財戦略を推進する上で、経営陣のほか事業部のメンバー(エンジニアやデザイナー)とのコミュニケーションは欠かせません。
またマネーフォワードの知財戦略部は小規模な体制なので、社内だけでなく社外とのネットワーク作りにも力を注いできました。
新型コロナウイルスの感染拡大以前、開発拠点のある福岡や京都に出向いてヒアリングや勉強会などを行い、社外の特許事務所や各種学会で知り合う知財協会の方々とも関わる機会を作ることができました。現在でもZoomなどによるオンライン会議やSlackなどによるコミュニケーションを継続しています。
いずれの取り組みも一つ一つは珍しいものではありません。
しかしスタートアップやベンチャー企業において継続的に行っていくためには、経営陣による知的財産への理解、サポートしてくれる社内外のメンバーやパートナーとの関係構築が欠かせません。
特に重要なのは、「諸事業の成長のために、なぜ知的財産が必要なのか」という問に自分なりの答えを持って経営陣や事業部のメンバーとコミュニケーションしつづけることに尽きると思います。
課題は、事業理解と知財リテラシーの向上、そして人材不足
私がマネーフォワードに入社した当初は、大手企業の知財部門では当たり前にある制度や機能がまったく整っていませんでした。
現在では少しずつ整ってきているところですが、まだまだ足りないことも多くあります。
また、知財戦略部のミッションを実現していく上での課題は、大きく3つあります。
一つ目は、事業理解についてです。
マネーフォワードでは様々な顧客に向けた幅広いサービスを展開しています。社内の知財戦略部は、グループ会社を含むすべての事業部・部門について、知的財産を広義にとらえ活動を行っています。そのため各所の事業をしっかりと理解する必要があります。また、経営陣や事業部のメンバーと話し合う上でも重要となります。社内の動きをしっかりキャッチアップして理解するよう努めることが課題です。
二つ目は、知財リテラシーの向上です。
年々従業員の数が増えてきている中で、メンバーによって理解度にばらつきがあるのが課題です。知的財産は特許や商標などの知的財産権のみを指す言葉ではないことや、「何のために知的財産が必要なのか」ということへの理解はまだまだ不足していると感じます。そこで、従業員向けの勉強会や研修の実施を行い、繰り返し伝え続けることが重要です。
三つ目は、採用です。
知財戦略部は、圧倒的に人材不足の状況にあります。
そこで、以下のようなメンバーを募集したいと考えています。
・企業の知財部門での業務経験がある方(3年以上)
・オーナーシップをもって、自ら考え、行動できる方
・課題発見力のある方
・コミュニケーション能力や巻き込み力のある方
・自分の専門領域以外の知的財産業務にもチャレンジしたい方
これらはマネーフォワードの掲げるCultureに沿って編み出したものです。
スタートアップやベンチャー企業におけるミッション・ビジョン・バリュー・カルチャーは、組織に属するすべての人に共通する言語として大切だと考えています。
つまり業務に取り組む際に、常に意識してほしい事項ということです。
このような企業としての価値観を理解し行動できる方が、スタートアップやベンチャー企業と相性がいいといえるでしょう。
2021年6月のコーポレートガバナンスコードの改定においても、人的資本や知的財産への投資等の重要性について言及されています。
このことから、ますます企業にとっての知的財産の重要性は高まるといえるのではないでしょうか。
企業における知財部門のプレゼンスを高め、知的財産を広義にとらえ事業を成長させていけるよう引き続き取り組んでいきます。
- 株式会社マネーフォワードのHPはこちらから
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